「セーター」と「枯蓮」を詠む
双歩さん「老の矜持」7点でトップ
番町喜楽会の平成30年11月例会(通算156回)は、5日午後6時半から「セーター」と「枯蓮」を兼題として東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行われた。投句5句、選句6句の結果、首位は嵐田双歩さんの「枯蓮や老には老の矜持あり」で7点。次席は5点で、高井百子さんの「霧の降る里から届く走り蕎麦」、玉田春陽子さんの「婦長にも私服の日あり黒セータ」、中村哲さんの「仕事着の厚きセーター漁師町」の3句が並んだ。4点、3点が各5句で、かなり点数がばらけた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「セーター」
婦長にも私服の日あり黒セータ 玉田春陽子
仕事着の厚きセーター漁師町 中村 哲
女子校の坂賑やかに紺セーター 廣田 可升
セーターの胸ふくらんで十三歳 徳永 木葉
「枯蓮」
枯蓮や老には老の矜持あり 嵐田 双歩
枯蓮のオブジェとなりて池暮れる 斉山 満智
老が老いたはるベンチ枯はちす 廣田 可升
弁天堂かこむ枯蓮茜雲 須藤 光迷
行く雲も風も過客よ枯蓮 玉田春陽子
枯蓮のくの字への字に乱れけり 徳永 木葉
「雑詠」
霧の降る里から届く走り蕎麦 高井 百子
足して貼る二円切手や冬隣 嵐田 双歩
陽に染まる桜紅葉や都電待つ 廣田 可升
初冬やめくる暦の頼りなき 塩田 命水
【参加者】(出席十四人)嵐田双歩、池内的中、大澤水牛、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、星川水兎、前島幻水。(投句参加七人)今泉而云、大下綾子、斉山満智、澤井二堂、野田冷峰、廣田可升、山口斗詩子。 (報告・須藤光迷)