「夏の月」と「トマト」を詠む
春陽子さん、「西瓜」で断トツの9点句
番町喜楽会の平成30年7月例会(通算第152回)は、2日午後6時半から「夏の月」と「トマト」を兼題として、東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行われた。投句5句、選句6句の結果、玉田春陽子さんの「亡き人も入れて等分西瓜切る」が9点で断トツ、次点は5点で斉山満智さんの「美しく老いる道なし夏の月」と春陽子さんの「海に裾浸す鳥海夏の月」が並んだ。兼題の「トマト」には35句の投句があったが、今泉而云さんの「学校のトマトに水を遣りにゆく」という口語調の作品が4点で唯一の高点句で、3点句は無し、2点が7句、1点句が8句で、半数以上の19句には点が入らないという珍しい結果になった。全投句の中の4点は4句、3点は5句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「夏の月」
美しく老いる道なし夏の月 斉山 満智
海に裾浸す鳥海夏の月 玉田春陽子
潮騒を枕に浜の月涼し 嵐田 双歩
夏の月船が船曳く隅田川 玉田春陽子
窓開けて招きいれたり夏の月 星川 水兎
「トマト」
学校のトマトに水を遣りにゆく 今泉 而云
「雑詠」
亡き人も入れて等分西瓜切る 玉田春陽子
ヒーローの仮面行き交ふ夏祭り 塩田 命水
梅雨明けや鯨ジャンプす東京湾 堤 てる夫
丘々にデイゴ燃え立つ慰霊の日 中村 哲
夏の夜の父と話のけり付かず 澤井 二堂
くちなしの匂ふばかりの夜風かな 廣田 可升
【参加者】(出席16人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、前島幻水。(投句参加4人)大下綾子、澤井二堂、中村哲、星川水兎。 (報告・須藤光迷)