日経俳句会第170回例会

 

33人が「夕焼」「蛇」を詠む

兼題にずらり高点句

 

日経俳句会は平成30年度7月例会(通算170回)を7月18日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。全国的に猛暑が続き、関東も35度を超す暑さ。外出を控えた人もいて、出席は17人といつもより少なかったが、合評会では熱い議論が展開され、盛り上がった句会となった。兼題は「夕焼」と「蛇」。33人から99句の投句があり、5句選の結果、最高9点は「夕焼に突っ込んで行く中央線 悌志郎」、次席は8点で「クレーンの首伸びきって大夕焼 三薬」だった。三席6点には「誰も居ぬ鰊御殿の夕焼かな 正市」「蛇のゐて視る子逃げる子石打つ子 昌魚」、「沙羅咲くも散り敷くもよし樹木葬 而云」の3句が並んだ。さらに5点句には「大夕焼父のやうやく保護されて 双歩」「打たれたる蛇遠巻きに湯治客 悌志郎」が入り、兼題句に高得点句が多かった。以下4点7句、3点10句、2点10句、1点32句で、全体の三分の二の句に点が入った。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「夕焼」

夕焼に突っ込んで行く中央線      大倉悌志郎

クレーンの首伸びきって大夕焼     杉山 三薬

誰も居ぬ鰊御殿の夕焼かな       廣上 正市

大夕焼父のやうやく保護されて     嵐田 双歩

逆上がりすれば夕焼宙に舞ふ      植村 博明

夕焼けや通園袋ふくらみて       向井 ゆり

肩掛けの車掌かばんや旅夕焼      大熊 万歩

鯨待つ木更津橋の大夕焼        金田 青水

夕焼や今日の仕舞ひと投網打つ     谷川 水馬

日曜の愁ひ包みて夕焼ける       中嶋 阿猿

「蛇」

蛇のゐて視る子逃げる子石打つ子    高石 昌魚

打たれたる蛇遠巻きに湯治客      大倉悌志郎

草刈機に蛇飛びかかり切られけり    嵐田 双歩

蛇嫌ひお前もさうか人嫌ひ       大沢 反平

蛇の消ゆ一筆書きと句読点       加藤 明男

木漏日とあそぶ小蛇に出会ひたり    金田 青水

水面へと蛇滑り出る昼の淵       中村  哲

「当季雑詠」

沙羅咲くも散り敷くもよし樹木葬    今泉 而云

サンダルのはみ出す指や夏来る     植村 博明

目高飼い増えて玄関居間二階      鈴木 好夫

烏瓜咲いてシナプスつながりし     星川 水兎

凌霄花二階を閉ざす館かな       大熊 万歩

新宿をたたき洗ひて夕立去る      大倉悌志郎

隧道の涼風連れて天城越え       中村  哲

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村哲、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、鈴木好夫、高橋ヲブラダ、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。      (報告・中村哲)

 

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