日経俳句会上期合同句会開かる

「更衣」、「木下闇」を四十一人が詠む

底知れぬ嘘と忖度木下闇      光迷

連山を映し那須野の田植かな    哲

 

日経俳句会の平成30年度上期合同句会(通算26回)は6月20日、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。投句参加者は過去最高の41人。「更衣」と「木下闇」の兼題で3句投句、総数123句が集まった。この日は梅雨らしいじめじめした雨模様だったが、24人が出席賑やかな合評会となった。

全員5句の事前選句の結果、最高点は光迷さんの「底知れぬ嘘と忖度木下闇」と哲さんの「連山を映し那須野の田植かな」が8点で並んだ。次点は5月から酔吟会に参加した廣田可升さんの「赴任地に慣れしと便り更衣」と植村博明さんの「ポケットに古き名刺や衣更」の7点句。三席の6点は金田青水さんの「おもひでも併せて処分ころもがへ」など4句と高点句がばらけた印象だった。以下、5点3句、4点8句、3点7句、2点25句、1点33句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「更衣」

ポケットに古き名刺や衣更       植村 博明

赴任地に慣れしと便り更衣       廣田 可升

おもひでも併せて処分ころもがへ    金田 青水

更衣ネイルアートは空模様       大熊 万歩

更衣いいねと妻の襟に触れ       岡田 鷹洋

樟脳のにほふ地下鉄更衣        徳永 木葉

八十一歳またユニクロの更衣      橫井 定利

女子男子体操服も更衣         嵐田 双歩

ポケットにマチネの切符更衣      廣田 可升

「木下闇」

底知れぬ嘘と忖度木下闇        須藤 光迷

走り根の幾畳鞍馬の木下闇       大下 綾子

木下闇天狗の背中見たやうな      中嶋 阿猿

首塚に英語の由来木下闇        嵐田 双歩

百選の水潺潺と木下闇         大倉悌志郎

妖精の囁く声す木下闇         片野 個魚

伸び縮む時間ありけり木下闇      星川 水兎

「当季雑詠」

連山を映し那須野の田植かな      中村  哲

点滴の落つるを眺め梅雨に入る     加藤 明男

薫風やしなやかに舞ふ太極拳      久保田 操

ごきぶりに生まれ変はるのだけは厭   嵐田 双歩

きゆうり揉みモロッコ産の蛸入れて   玉田春陽子

かき氷半分こして共白髪        中嶋 阿猿

冷し酒つぶやきいつしか怒髪天     杉山 三薬

夫婦には定年なきか七変化       須藤 光迷

半夏生蛸喰ふ慣らひ真田郷       高井 百子

夏足袋の夜の白さよ祇園町       徳永 木葉

参加者(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高井百子、高石昌魚、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり、横井定利。(投句参加)和泉田守、井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大平睦子、片野個魚、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、水口弥生、山口斗詩子     (報告 嵐田双歩)

 

 

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