日経俳句会第169回例会

 

34人が「滝」と「新緑」を詠む

岩田さん「ダリのひげ」最高10点

 

日経俳句会は平成30年度5月例会(通算169回)を5月16日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。この日は気温が上がり、まさに夏近し。出席者は18人とやや少なかったが、投句参加も加えると34人になり、熱のこもった句会となった。

兼題は「滝」と「新緑」。投句総数102句、5句選の結果、岩田三代さんの「大空にダリの口ひげ夏つばめ」が最高10点を獲得、廣上正市さんの「ブロンズの弓引く像や風五月」が9点で続いた。6点には今泉而云さんの「新緑や表札に府下豊多摩郡」が入り、5点には澤井二堂さんの「滝落ちる歓喜の音とも悲鳴とも」など3句が並んだ。以下4点6句、3点13句、2点17句、1点23句と続いた。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「滝」

滝落ちる歓喜の音とも悲鳴とも     澤井 二堂

夜更けには森も聞くなり滝の音     植村 博明

滝眺むしばし時間の止まりたり     大熊 万歩

神の住む一枚岩から糸の滝       大沢 反平

一人づつ渡る吊り橋滝とどろ      廣上 正市

速ければ動かざるごと滝落ちる     星川 水兎

滝落ちてしづかに一葉押し流す     大下 綾子

山塊に白き一筋神の滝         中村  哲

七滝の転び転んで伊豆の海       野田 冷峰

お屋敷に園丁の瀧楚楚とあり      水口 弥生

ふるさとのちひさきたきをなつかしみ  横井 定利

「新緑」

新緑や表札に府下豊多摩郡       今泉 而云

新緑や吊り橋からの大ジャンプ     加藤 明男

新緑の渡廊下に始業ベル        徳永 木葉

新緑や様になつたねランドセル     谷川 水馬

新緑で覆ひ尽せよ耶蘇の島       嵐田 双歩

新緑やグラデーションは神の筆     岩田 三代

緑さすベンチに水と数独本       大下 綾子

新緑にひとときの雨匂ひ立つ      杉山 三薬

新緑に濃淡のあり山斑         中村  哲

細胞の一つ一つに緑さす        星川 水兎

「当季雑詠」

大空にダリの口ひげ夏つばめ      岩田 三代

ブロンズの弓引く像や風五月      廣上 正市

片言の男女の担ぐ神輿かな       加藤 明男

著莪の雨ボタン一つで人を焼き     横井 定利

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三藥、鈴木好夫、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。    (報告・中村哲)

 

 

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