日経俳句会第163回例会

 

今泉さんと深田さん11点句連発

37人が参加、「秋冷」「鵙」を詠む

10月18日(水)、日経俳句会の平成29年度10月例会(通算163回)が千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。秋の長雨が止んだものの急に寒くなって体調を崩した人もいたようだが、22人が出席(欠席投句15人)して賑やかな句会となった。

「秋冷」と「鵙」の兼題で37人から110句の投句があった。5句選の結果、而云さんの「本堂の床秋冷の黒光り」と森太郎さんの「シテ去りて秋冷残る能舞台」の2句が断トツの11点を集めた。次点の8点句には反平さん「鵙高音谷の深さを告げにけり」が選ばれ、6点句に双歩さんの「てっぺんを鵙に預けて古木立つ」と阿猿さんの「秋祭り後ろ姿の似たる人」が続いた。以下5点7句、4点3句、3点9句、2点14句、1点31句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「秋冷」

本堂の床秋冷の黒光り       今泉 而云

シテ去りて秋冷残る能舞台     深田森太郎

秋冷や足の裏にも運命線      嵐田 双歩

秋冷やぬる燗といふ選択肢     植村 博明

秋冷を足先で知る寝起きかな    澤井 二堂

秋冷や山の湿りの上着脱ぐ     星川 佳子

「鵙」

鵙高音谷の深さを告げにけり    大沢 反平

てっぺんを鵙に預けて古木立つ   嵐田 双歩

藍染の旅のジャケット鵙日和    星川 佳子

消火ホース高々干され鵙日和    德永 正裕

道すがら不義理かぞへて鵙日和   中嶋 阿猿

鵙の声いまだに聴かず樹々高し   井上庄一郎

鵙鳴いて双眼鏡の譲り合ひ     植村 博明

新築の免振神社鵙日和       大熊 万歩

百舌鳥叫ぶ此処に柿の木あったはず 大澤 水牛

廃校や鵙なわばりを告げてをり   金田 青水

当季雑詠

秋祭り後ろ姿の似たる人      中嶋 阿猿

雲すこしありて生き生き今日の月  大澤 水牛

寛解の米寿の兄へ良夜かな     岡田 臣弘

漆黒の夜を統べたる金木犀     徳永 正裕

幾重にも分かれる道や吾亦紅    星川 佳子

終バスの赤き行き先虫の闇     大熊 万歩

敬老日なじみ風呂屋に救急車    岡田 臣弘

散り際の高き薫りや金木犀     谷川 水馬

参加者(出席)=嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、中村哲、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、向井ゆり(投句参加)植村博明、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、直井正、中嶋阿猿、流合研士郎、深田森太郎、藤野十三妹、水口弥生、横井定利

(まとめ・嵐田双歩)

 

 

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