21人で「夏」と「朝顔市」を詠む
番町喜楽会の平成29年7月例会(通算第141回)は、3日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で行った。九州に台風3号が接近していたものの、東京は日中の気温が32.5度に上り、兼題の「夏」そのもの。そのせいか「夏」の句は44句を数えた。もうひとつの兼題は「朝顔市」で、こちらは秋の季語の「朝顔」を詠んだものを含めて31句。当季雑詠が29句だった。
句会は、投句5句、選句6句で行った。最高は徳永正裕さんの「ひげ生えて少年の夏始まりぬ」で6点。次席の5点には田中白山さんの「二人にはほど良き傾斜夏の土手」、廣田可升さんの「さいたまの子から朝顔買ふ入谷」と、堤てる夫さんの「炎帝の畑にひとつ丸き背」の3句が並んだ。4点は中村哲さんの「亡き母と同じ仕草や梅仕事」など6句、3点は池内健治さんの「母の夢夏の租界の人力車」など5句だった。
兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「夏」
ひげ生えて少年の夏始まりぬ 徳永 正裕
二人にはほど良き傾斜夏の土手 田中 白山
炎帝の畑にひとつ丸き背 堤 てる夫
向こうから同じユニクロ夏真昼 廣田 可升
母の夢夏の租界の人力車 池内 健治
白熊の大飛び込みや夏真昼 星川 佳子
「朝顔市」
さいたまの子から朝顔買ふ入谷 廣田 可升
朝顔の鉢抱いて来る下校の子 池内 健治
浴衣着て朝顔市の客となる 中村 哲
「雑詠」
お囃子の町家に籠る半夏雨 徳永 正裕
亡き母と同じ仕草や梅仕事 中村 哲
今年また青梅火酒に酔わせけり 山口斗詩子
ぬけぬけと李下に冠正したる 今泉 而云
手を合すわらべ地蔵や苔の花 谷川 水馬
さりげなく道ゆづりあひ白日傘 玉田春陽子
《参加者》(出席17人)嵐田双歩、池内健治、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、谷口命水、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中村哲、廣田可升、山口斗詩子。(投句参加4人)齊山満智、野田冷峰、星川佳子、前島幻水。 (報告・須藤光迷)