日経俳句会第155例会・新年句会

「寒」「ラグビー」に最多の百七十四句

而云・水牛両氏が最高点の揃い踏み

日経俳句会は1月18日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で1月例会(通算155回)を開いた。「寒」と「ラグビー」の兼題と雑詠に、例会としてはこれまでで最多の35人から174句が集まった。今にも雪になりそうな空模様にも関わらず23人が出席。新たにメンバーに加わった岩田三代さんの自己紹介の後、句会に入った。

この日の最高点は8点で、今泉而云さんの「ラグビーの一人たちまち風となる」と、大澤水牛さんの「初鶏や英尾師逝きて一巡り」が並んだ。而云さんは「しめ縄に残る青さや寒に入る」「ラガーメン押すや二頭の牛と化し」もそれぞれ6点を獲得し面目躍如。次席の7点句は岡田臣弘さんの「寒銭湯老いし刺青泣きさうな」。6点句は髙石昌魚さんの「丸き背の連なる寒の交差点」と星川佳子さんの「あら塩の浮く梅干や寒の入」が選ばれた。

このほか、5点句は「涙拭くラガーの太き腕(かいな)かな」(大下綾子)、「老人のどれも似合ひの冬帽子」(嵐田双歩)など5句。4点句は「寒に入る競歩のごときサラリーマン」(髙橋ヲブラダ)、「地球から水吸い上げて霜柱」(岩田三代)など5句。以下、4点6句、3点8句、2点26句、1点43句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「寒」

寒銭湯老いし刺青泣きさうな      岡田 臣弘

しめ縄に残る青さや寒に入る      今泉 而云

丸き背の連なる寒の交差点       髙石 昌魚

あら塩の浮く梅干や寒の入          星川 佳子

本堂の床の軋みや寒の寺                  嵐田 双歩

堂歩む僧の素足や寒の行              中村 哲

寒に入る競歩のごときサラリーマン   髙橋ヲブラダ

寒夕焼水上バスを飲み込みぬ      横井 定利

孫たちが帰りわが家も寒に入る     井上庄一郎

寒行の一行もをり夜行バス       今泉 而云

蛇口から水細く出す寒の内       岩田 三代

寒晴れや陽だまりに妻丸くゐて     大沢 反平

クラナハの笑はぬ瞳寒の入       星川 佳子

「ラグビー」

ラグビーの一人たちまち風となる    今泉 而云

ラガーメン押すや二頭の牛と化し    今泉 而云

涙拭くラガーの太き腕かな         大下 綾子

包帯をざっと巻きたるラガーかな    星川 佳子

いい嫁になりそうラガー見つめる眼   髙瀨 大虫

わがラガーに弁当三つ持たせけり      池村実千代

観戦もスクラム姿勢や元ラガー     澤井 二堂

「当季雑詠」

初鶏や英尾師逝きて一巡り       大澤 水牛

老人のどれも似合ひの冬帽子      嵐田 双歩

地球から水吸い上げて霜柱       岩田 三代

鴨の来て池の景色の整ひぬ       澤井 二堂

駅伝の人波ほどけ御空澄む       水口 弥生

どんど焼きいたづらつ子も手を合わせ  井上庄一郎

《参加者》(出席二十三人)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、大熊万歩、大澤水牛、大沢反平、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利。(投句参加十二人)植村博明、大石柏人、大下綾子、大平睦子、岡田臣弘、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、谷川水馬、流合研士郎、藤野十三妹。    (報告 廣上正市)

 

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