「不機嫌がゐる」反平句八点と「冬の蠅連れて」水馬句七点が競り合う
酔吟会は11月12日(土)午後1時、東京・千代田区内神田の日経広告研究所会議室で平成28年納めの例会(第125回)を開催した。出席者13人、投句参加4人。兼題は「時雨(しぐれ)」と「鰤(ぶり)」で、投句5句、総計85句について7句選で句会を進めた。最高は大沢反平さんの「しぐるるや不機嫌がゐる台所」の8点句。次席は谷川水馬さんの「冬の蠅車窓に連れて五能線」の7点句だった。反平さん、水馬さんの作品に点が吸い取られたわけでもないだろうが、6、5、4点句が零で、三席は一気に3点句に跳び、計8句がずらりという珍しい結果になった。以下2点が9句、1点34句。3点以上の高点句のうち、兼題句は「鰤」3句、「時雨」3句の計6句。兼題別3点以上の高点句は次の通り。
「時雨」
しぐるるや不機嫌がゐる台所 大沢 反平
初時雨濃い目の紅とすれ違ふ 今泉 而云
山ノ芋もう掘りごろと時雨来る 大澤 水牛
「鰤」
鰤の網干してどこまで佐渡の浜 今泉 而云
鰤おこし立山連峰胴震ひ 岡田 臣弘
鰤の口真一文字の覚悟かな 久保田 操
「雑詠」
冬の蠅車窓に連れて五能線 谷川 水馬
虫食ひの穴ばかりなりわが冬菜 大澤 水牛
凩や今も銀座に活版屋 玉田春陽子
菊人形根が背の中にある秘密 片野 涸魚
参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、高井百子、星川佳子(投句参加)大石柏人、澤井二堂、野田冷峰、藤野十三妹
(報告・堤てる夫)