番町喜楽会第133回例会

 

「冬めく」と「熊」を詠む

 

番町喜楽会の平成28年11月例会(通算第133回)は、7日午後6時半から東京・九段下の割烹「味さと」で開かれた。通常、奇数月の会場は「生涯学習館」なのだが、千代田区のイベントのため利用できず、会場変更となったもの。兼題のひとつは「冬めく」で、ちょうど7日が立冬、東京の最高気温は15度に達しなかった。もうひとつの兼題は「熊」で、各地で出没、人に危害を加えて厄介者扱いされている(棲息地を人が荒らしたことなど棚に上げて)可哀相な存在。

句会は、投句5句、選句6句で行った。最高は玉田春陽子さんの「冬めくや駅に手作り小座布団」で8点、小道具遣いの名手ぶりがいかんなく発揮された。次席は田中白山さんの「午後からは時の駆け出す暮の秋」で7点、釣瓶落としの季節感を鋭敏にとらえて好評。三席は高井百子さんの「妻が先吾は後ろや熊の道」で6点、男と女の世界の戯画化ぶりが笑いを誘った。続く5点句は二つ、4点句は一つ、3点句は五つと、少な目。その一方、2点句が15、1点句が36と末広がりの様相だった。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「冬めく」

冬めくや駅に手作り小座布団          玉田春陽子

冬めくやポトフことこと昼下がり        谷川 水馬

禿頭の冬めく風に触れにけり          田中 白山

日没を前にともる灯冬めきぬ          徳永 正裕

冬めくや老猿岩に座すばかり          星川 佳子

「熊」

妻が先吾は後ろや熊の道            高井 百子

大山の御師の館の熊談義            大澤 水牛

番小屋の裏を子連れの熊のゆく         須藤 光迷

「雑詠」

午後からは時の駆け出す暮の秋         田中 白山

頼りなき日差し求めて布団干す         山口斗詩子

赤き実をあさる鵯腹太し            高井 百子

《参加者》

【出席16人】嵐田双歩、井上啓一、池内健治、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島厳水、【投句参加4人】齊山満智、澤井二堂、高瀬大虫、山口斗詩子

(報告・須藤光迷)

 

 

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