岡田さん、断トツの十一点句
弥生さんも「冬浅し」の佳句連発
日経俳句会は11月16日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で11月例会(通算154回)を開いた。「冬浅し」「納豆」の兼題に34人が166句出句した。急に寒さが増したせいか、体調を崩された方が多く、欠席選句が13人にも達した。
最高点は岡田臣弘さんの「酉の市巫女の英語の達者なる」が11人もの支持を得た。これが際立っており、次席は7点の3句。「お日様の香りを添へて藁納豆」(嵐田双歩)、「自慢げに歯抜けの跡を七五三」(今泉而云)、街路樹の日毎に痩せて冬めけり」(流合研士郎)が選ばれた。6点句も「立て衿のか細き首や冬浅し」(水口弥生)、「納豆に朝日の入る山の宿」(植村博昭)の2句にとどまった。5点句は「山なみを紫紺に沈め冬浅し 弥生」、「冬薔薇座る人なきテラス席 阿猿」、「水鳥の足裏黄色き小春かな 正市」の3句。4点、3点が目立って多く、それぞれ6句、11句あった。2点は24句、1点は35句だった。兼題別の高点句(三点句以上)は以下の通り。
「冬浅し」
立て衿のか細き首や冬浅し 水口 弥生
山なみを紫紺に沈め冬浅し 水口 弥生
冬浅し膝関節のきしきしと 横井 定利
途切れつつとんかちの音冬浅し 大下 綾子
冬浅し長袖半袖七分袖 金田 青水
衿元に衣(きぬ)の膨らみ冬浅し 高石 昌魚
もり蕎麦に七味一振り冬浅し 徳永 正裕
「納豆」
お日様の香りを添へて藁納豆 嵐田 双歩
納豆に朝日の入る山の宿 植村 博昭
納豆や幼馴染は子沢山 今泉 而云
納豆に砂糖入れるも吾が故郷 徳永 正裕
ままならぬ憂き世に納豆かき回し 岡田 臣弘
納豆や卓袱台囲む日のありき 高石 昌魚
納豆をあてに晩酌妻の留守 堤 てる夫
山谷をともに越え来て納豆汁 中村 哲
「当季雑詠」
酉の市巫女の英語の達者なる 岡田 臣弘
自慢げに歯抜けの跡を七五三 今泉 而云
街路樹の日毎に痩せて冬めけり 流合研士郎
冬薔薇座る人なきテラス席 中嶋 阿猿
水鳥の足裏黄色き小春かな 廣上 正市
大根干す櫓の先に薩摩富士 須藤 光迷
群れなして冬野に降りる鴉かな 堤 てる夫
水底に雑魚の影なす冬日差 廣上 正市
柿すだれ慣れぬ手つきのそのまんま 堤 てる夫
相席の客も鍋焼き湯気二つ 徳永 正裕
木枯の行って帰らぬ浪江沖 中村 哲
《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、廣上正市、星川佳子(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、野田冷峰、流合研士郎、深田森太郎、藤野十三妹、水口弥生、横井定利
(報告・廣上正市)