兼題句に高点無しの珍現象
酔吟会の平成28年9月例会(通算124回)は9月10日午後1時から内神田・日経広告研究所会議室で開催された。常連が不参加だったことから出席11人(大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、澤井二堂、高井百子、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰)の小ぶり句会になった。投句参加は4人(今泉而云、大平睦子、谷川水馬、藤野十三妹)。
兼題は「九月」「鶺鴒」で投句5句、選句7句で句会進行。結果は、最高点が5点で2句、次席4点4句、三席3点3句だった。出席者が少なかったため、高点句が少なかった。その中で5点、4点を獲得するのは大したものだと、高点句は大いに称揚された。
またこの日の句会では「鶺鴒」に高点句が無かった。兼題句に高点が出なかったのは初めてのことである。兼題別高点句(3点以上、「鶺鴒」は2点句)は以下の通り。
「九月」
締め忘る窓に九月の唐突に 大沢 反平
廃校に保育所きたる九月かな 岡田 臣弘
九月には九月の風の色のあり 片野 涸魚
長袖の裾のほつれや九月来る 谷川 水馬
糠床のひと息つくや九月来 玉田春陽子
「鶺鴒」
よちよちと鶺鴒を追ふ幼児かな 片野 涸魚
鶺鴒も来るコンクリの都市河川 今泉 而云
蹲に鶺鴒うたふ茶会席 岡田 臣弘
鶺鴒に尻たたかれて庭掃除 高井 百子
「雑詠」
除染土の袋の山やななかまど 谷川 水馬
一夜にて虫鳴く道に道に変りけり 片野 涸魚
風の盆枕に沁みる胡弓かな 岡田 臣弘
今もって本家分家や蕎麦の花 今泉 而云
(報告 高井百子)