「花野」と「鯊」を詠む
番町喜楽会の平成28年9月例会(通算131回)は、5日午後6時半から東京・九段下の千代田区立生涯学習館で開催した。兼題は「花野」と「鯊」で、投句5句、選句6句で行った。立秋から一カ月近くも経ったのに、最高気温33度という相変わらずの猛暑ぶり。遅れ馳せの夏休みか二人が海外、一人が国内を旅行中。その一方、仕事が詰まっており止むなく欠席という人もいて、出席は15人だった。
最高は5点で、須藤光迷さんの「鰯雲明日はできそう逆上がり」。次席の4点には谷川水馬さんの「行く雲も色を添えたる花野かな」、光迷さんの「山の端に星の生まれし花野かな」、高井百子さんの「父も子も男やもめや鯊を釣る」、玉田春陽子さんの「掌に命ひんやり今年鯊」の4句が並んだ。3点は高瀬大虫さんの「日の落ちて狐嫁入る花野かな」をはじめ13句に上り、実力伯仲(?)による乱戦模様。2点16句、一点は23句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「花野」
山の端に星の生まれし花野かな 須藤 光迷
行く雲も色を添えたる花野かな 谷川 水馬
日の落ちて狐嫁入る花野かな 高瀬 大虫
一歩ずつ花野行く母夢枕 高井 百子
ほんのりと足袋しめりゆく花野径 星川 佳子
「鯊」
父も子も男やもめや鯊を釣る 高井 百子
掌に命ひんやり今年鯊 玉田春陽子
フリットでイタリアンです今日の鯊 齊山 満智
鯊釣りの船続々と橋くぐる 須藤 光迷
竿伝ふ恥づかしげなる沙魚の引き 高瀬 大虫
柔らかき水の匂ひや鯊を釣る 谷川 水馬
鯊の目の入日に映えて運河暮る 廣田 可升
「雑詠」
鰯雲明日はできそう逆上がり 須藤 光迷
剥落の紅殻格子晩夏光 玉田春陽子
黄金色稲田に鷺の舞ひ下りて 堤 てる夫
蜻蛉のためらひがちなホバリング 堤 てる夫
盆帰り敷居跨げば大阪弁 廣田 可升
胡弓の音おわら祭の夜が白む 前島 厳水
〈参加者〉【出席15人】嵐田双歩、池内健治、今泉而云、大澤水牛、齊山満智、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、玉田春陽子、徳永正裕、廣田可升、星川佳子、前島厳水、山口斗詩子【投句参加5人】大下綾子、澤井二堂、谷川水馬、堤てる夫、野田冷峰 (報告・須藤光迷)