「灼く」と「天の川」に力作続々
番町喜楽会の平成28年8月の例会(通算130回)は、8月6日(土)午後6時から九段下の割烹「味さと」で開かれた。夏休みに入った事もあり、いつもよりやや少なめの総勢13名の参加者が九段下の会場に定刻に集結した。この日の兼題は「灼く」と「天の川」。投句5句、選句7句で行った結果、廣田可升さんの「なまこ塀灼けて潮の香匂ふ町」と徳永正裕さんの「かき氷煉瓦の駅の喫茶室」が7点の最高点を獲得した。以下、6点句が1句、5点句が2句、3点句が9句、2点句が15句、1点句が29句だった。欠席投句を含め投句合計は93句だった。3点以上得た兼題別高点句は次の通り。
「灼く」
なまこ塀灼けて潮の香匂ふ町 廣田 可升
警備員灼くる持ち場を動けずに 大下 綾子
灼くる日の真田隠し湯鉄の色 高井 百子
砂灼けて裸足汀へ一目散 高瀬 大虫
ゆらゆらり灼くる地歩む老女われ 山口斗詩子
「天の川」
駱駝みな瞑りてをり天の川 今泉 而云
伊那谷は底より仰ぐ銀河かな 玉田春陽子
美濃焼の窯鎮まれば天の川 須藤 光迷
波照間の水平線に銀河澄む 野田 冷峰
連山を蓋ひ果てなし天の川 前島 巌水
「雑詠」
かき氷煉瓦の駅の喫茶室 徳永 正裕
素麺の縋るものなき桶の中 玉田春陽子
人消ゑし町の垣根や沙羅の花 谷川 水馬
隅田へと浴衣華やぐ電車かな 前島 巌水
〈参加者〉(出席十三名)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、廣田可升、星川佳子、前島巌水(投句参加名)池内健治、大下綾子、齊山満智、田中白山、野田冷峰、山口斗詩子
(報告 谷川水馬)