リオ五輪TV観戦で寝不足顔も
「秋の声」で水馬氏堂々7点獲得
日経俳句会は8月17日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で8月例会(通算151回)を開いた。残暑の中、「秋の声」「芒」の兼題に34人から165句の投句があった。関東を掠めた台風の影響で蒸し暑い夕刻、オリンピック観戦で眠い目をこすりながら19人が出席、14人が投句参加した。
7句選(欠席選句は5句)の結果、最高点は7点で谷川水馬さんの「頬杖の妻の背中や秋の声」が選ばれ、次席6点に植村博明さんの「芒原揺れて見送る貨車の列」と須藤光迷さんの「子とはぐれ妻ともはぐれ芒原」の2句が並んだ。つづく5点は「廃線の鉄路を隠す芒かな」(深田森太郎)、「八月や昭和史探る書肆の奥」(廣上正市)、「亡き人も一つ輪のなか盆踊」(星川佳子)の3句で、4点は「トーストを焦し目に焼く秋の声」(中嶋阿猿)、「山昏れて尾根に残照花すすき」(大倉悌志郎)、「秋立ちて退位ご決意淡淡と」(堤てる夫)など8句。3点も8句で、2点28句、1点52句と多くの句が得票した。高点句(3点句以上)は以下の通り。
「秋の声」
頬杖の妻の背中や秋の声 谷川 水馬
トーストを焦し目に焼く秋の声 中嶋 阿猿
江ノ電の空席ぽつり秋の声 流合研士郎
灯明の百の揺らぎや秋の声 星川 佳子
井戸のみの残る城跡秋の声 嵐田 双歩
芋の葉にころり水玉秋の声 大澤 水牛
朝まだき鉄路の響き秋の声 大沢 反平
隅つこにブリキの如雨露秋の声 横井 定利
「芒」
芒原揺れて見送る貨車の列 植村 博明
子とはぐれ妻ともはぐれ芒原 須藤 光迷
廃線の鉄路を隠す芒かな 深田森太郎
山昏れて尾根に残照花すすき 大倉悌志郎
おじぎして風やりすごす芒かな 中村 哲
花すすきバンダナにさす山男 星川 佳子
分け入って持ち歌ひとつ芒原 植村 博明
青芒親父は元気今日も留守 杉山 智宥
「当季雑詠」
八月や昭和史探る書肆の奥 廣上 正市
亡き人も一つ輪のなか盆踊 星川 佳子
秋立ちて退位ご決意淡淡と 堤 てる夫
鎌を研ぐ汗にも草の匂ひかな 廣上 正市
ハンモックの尻まん丸や涼新た 大澤 水牛
浚渫船どかりと居座る残暑かな 大沢 反平
参加者(出席)=嵐田双歩、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、澤井二堂、杉山智宥、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、星川佳子、
(投句参加)植村博明、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、岡田臣弘、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、流合研士郎、廣上正市、深田森太郎、水口弥生、横井定利
(まとめ・嵐田双歩)