日経俳句会第147回例会

 

「龍天に登る」と「田楽」を兼題に35人から171句

 

日経俳句会は3月16日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所(MIFビル)会議室で三月例会(通算147回)を開いた。「龍天に登る」「田楽」という手の込んだ兼題にもかかわらず、35人の会員から171句の投句があり、活気溢れる会になった。当日の出席者は23人。

いつものように投句5句、選句7句(欠席者選句5句)で進め、最高点の7点は杉山宥智さんの「龍天に武州上州土埃」が選ばれた。続く6点句は加藤明男さんの「龍天に登るロックのコンサート」、金田青水さんの「登り来る龍に出遭ふや宇宙船」、星川佳子さんの「田楽やとぼけ上手になりし父」の3句。5点句も3句で、「重力波なるものの音龍天に」(中嶋阿猿さん)、「田楽の串振りかざす議論好き」(植村博明さん)、「やはらかな一雨去つて初桜」(嵐田双歩さん)。

4点句は9句あり、3点は15句 、2点は17句、1点は43句。兼題別3点句以上の高点句は以下の通り。

「龍天に登る」

龍天に武州上州土埃         杉山 宥智

龍天に登るロックのコンサート    加藤 明男

登り来る龍に出遭ふや宇宙船     金田 青水

重力波なるものの音龍天に      中嶋 阿猿

龍天に眠るゴジラは海の底      嵐田 双歩

龍天に逢瀬は虹の消ゆるまで     大倉悌志郎

竜天に背伸び競ふやチューリップ   澤井 二堂

雷神にやあと手を挙げ龍天へ     須藤 光迷

龍天に沖に揺れをる摩天楼      流合研士郎

龍天に水使う手の緩みけり      流合研士郎

法堂に鳴き声残し龍天に       大熊 万歩

龍天に昇る心地の退院日       髙石 昌魚

振り仰ぐなんじゃもんじゃや龍天に  徳永 正裕

龍天に土蔵にのこる火事のあと    星川 佳子

「田楽」

田楽やとぼけ上手になりし父     星川 佳子

田楽の串振りかざす議論好き     植村 博明

田楽や織部の皿にかしこまる     植村 博明

さ緑の木の芽でんがく新所帯     徳永 正裕

田楽で幾何学語る一人酒       中嶋 阿猿

田楽や秩父はいつも山の影      嵐田 双歩

田楽や酔ひて爺さまの鷺の舞ひ    今泉 而云

田楽や学会抜けて南禅寺       鈴木 好夫

田楽や古りに古りたる塗りの盆    須藤 光迷

生湯葉に生麩田楽先斗町       谷川 水馬

「雑詠」

やはらかな一雨去つて初桜      嵐田 双歩

配膳に紙の雛の置かれをり      廣上 正市

閻魔様に追返されて七日粥      大倉悌志郎

お下がりの着物ほどきて吊るし雛   谷川 水馬

宿坊や五人がかりの松手入      谷川 水馬

日脚伸ぶ坂の途中の長き椅子     廣上 正市

初蝶や下校の子等は冒険家      星川 佳子

 

参加者(出席)嵐田双歩、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、沢井二堂、杉山宥智、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、水口弥生、横井定利(投句参加)池村実千代、植村博昭、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷

(まとめ・廣上正市)

 

 

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