九段下「味さと」で月遅れの初句会
参加十九人で「春」「辛夷」を詠む
横山恭子さんが正式参加
番町喜楽会の平成28年初句会(通算124回)が2月6日(土)午後6時過ぎから、九段下の割烹「味さと」で開かれた。一月は日経俳句会と合同の新春恒例七福神吟行を行ったため、例会はこれが今年初めて。立春後三日目だが日中の最高気温9℃と、まだまだ春は名のみの寒さ。それでも16人が元気に勢揃い、所用で欠席投句の3人を加えて、参加19人で「春」と「辛夷」を詠み合った。この日から横山恭子さんが正式参加された。
投句5句、選句6句で句会を進めた結果、最高点は7点で、玉田春陽子さんの「魚河岸の春は西から東から」が選ばれ、参加者一同から盛大な拍手を浴びた。次席は5点で徳永正裕さんの「春の日の折鶴ふはと飛びにけり」、三席4点は「花辛夷画家にならむと東京へ 綾子」と「花辛夷山懐の養魚池 春陽子」の2句だった。以下、3点7句、2点17句、1点24句と続いた。兼題別の高点句(3点以上獲得)は次の通り。
『春』
魚河岸の春は西から東から 玉田春陽子
エレベーター隅田の春を硝子越し 今泉 而云
浅草にふたたびの春人力車 星川 佳子
高みより春の前方後円墳 星川 佳子
『辛夷』
花辛夷画家にならむと東京へ 大下 綾子
花辛夷山懐の養魚池 玉田春陽子
『雑詠』
春の日の折鶴ふはと飛びにけり 徳永 正裕
手を出せばそつと手が添ひ春うらら 廣田 可升
春風をつかむ諸手や乳母車 須藤 光迷
目刺焼く故郷の海は寂れけり 須藤 光迷
身の内の鬼払ふごと豆打てり 徳永 正裕
寒夕焼ひととき富士を立たせけり 大下 綾子
《参加者》(出席)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大下綾子、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島厳水、横山恭子。(投句参加)井上啓一、堤てる夫、山口斗詩子。
(報告 大澤水牛)