第120回酔吟会例会

 

酔吟会は満20歳

酔吟会の平成28年幕開け句会は1月16日(土)午後1時から内神田・鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で開かれた。平成8年(1996年)春に日経社会部OB12名で発足した酔吟会は、2ヵ月に1回の例会を重ね、今回が通算120回で、誕生満20歳ということになった。原文鶴主宰(元社会部長)、大留黃鶴幹事長はじめ発足時会員の5名が亡くなるなど、顔ぶれは大きく変わったが、現在は22名の陣容で旧に倍する活発な句会を行っている。

この日の兼題は「寒」と「熱燗」で、投句5句、選句7句で句会を行った。日経俳句会や番町喜楽会などの姉妹句会が、参加人数の多さから事前投句・事前選句方式を採用しているのに対し、酔吟会だけは、句会当日に出席者が自作5句を短冊に記入投句(欠席投句は幹事が代行)する方式。集められた投句短冊を均等に出席者に配り、それを淸記用紙に清書し、順繰りに回して選句、一人ずつ自分の選んだ句を発表(披講)、合評会に移るという伝統的な方式を守っている。比較的時間に余裕のある土曜日午後なので、こういう昔ながらの句会が行えるわけで、忙しい世の中に珍しい句会が続いている。

選句・披講の結果は最高点が4点で5句並び、次席3点がなんと13句、2点句が三席ということになり8句出た。1点も20句あり、点の入った句が合計46句と、全投数80句の半数以上に及ぶ大混戦となった。

この中で、玉田春陽子さんが4点1句、3点3句、2点1句という「5打数5安打」の快挙、澤井二堂さんが4点2句と2点1句と気を吐き、片野涸魚さんと大沢反平さんが5句全てに得点という目出度い記録。

合評会も談論風発、水馬さんが「初句会ですから」と持ち込んだ静岡掛川の銘酒「開運」を屠蘇代わりに、新年らしい賑やかな句会となった。この日の句会で3点以上獲得した句を季語別に列挙すると以下の通り。

『寒』

寒の入り日だまり猫町たまり場所    澤井 二堂

寒ゆるく干柿不出来と便りくる     澤井 二堂

寒の雨東尋坊に突き刺さり       岡田 臣弘

六義園枝の先から寒に入る       大沢 反平

巻き癖の解けぬ暦や寒の入り      玉田春陽子

明日着る喪服吊すや寒の入り      玉田春陽子

手描き絵の寒中伺いまた嬉し      大平 睦子

申年や靴下紅く寒の内         谷川 水馬

寒の池米粒ほどの稚魚の口       星川 佳子

『熱燗』

熱燗と若狭へしこの付き具合      大澤 水牛

熱燗や昭和の顔の四人席        玉田春陽子

熱燗や夢のかけらを胸の底       玉田春陽子

老い上手さらりと生きて燗の酒     野田 冷峰

熱燗にざる一枚の旨さかな       久保田 操

『雑詠』

婆二人差しつ差されつ冬列車      堤 てる夫

燃やしたきもの多々ありきどんど焼き  片野 涸魚

冬椿慰霊に徹す天皇家         片野 涸魚

身のほどや小吉と出し初みくじ     大澤 水牛

(記録報告 大澤水牛)

 

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