初句会は「初詣」と「蜜柑」
中嶋阿猿さんが初参加
日経俳句会の平成28年度第1回例会(通算145回)が1月20日(水)午後6時半から千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。出席者は17人、投句参加者は15人。投句総数は159句だった。久しぶりの女性入会者、中嶋阿猿(本名愛)さんが初めて参加した。兼題は初句会にふさわしく「初詣」と「蜜柑」。7句選句の結果、大澤水牛さんの「海賊の島より届く大蜜柑」が断トツ9点を得た。続く6点が「連れ合いの願い洩れ聞く初詣 光迷」「読みさしの本に置かるる蜜柑かな 博明」の2句。5点が「願ふこと少なくなりし初詣 博明」と「深川は髷もちらほら初詣 佳子」。4点句は加藤明男さんの「蜜柑剥く喧嘩のあとの兄妹」をはじめ、「蜜柑」の兼題を中心に6句も出た。このほか、3点6句、2点21句、1点48句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「初詣」
連れ合いの願い洩れ聞く初詣 須藤 光迷
願ふこと少なくなりし初詣 植村 博明
深川は髷もちらほら初詣 星川 佳子
汗ばみて幣振る禰宜や初社 大澤 水牛
急かされてエプロンはずし初詣 池村実千代
三つ子用バギー現る初詣 今泉 而云
役者絵が招く成田や初詣 徳永 正裕
柏手が開く闇夜や初詣 流合研士郎
青竹の香のある神酒や初詣 廣上 正市
「蜜柑」
海賊の島より届く大蜜柑 大澤 水牛
読みさしの本に置かるる蜜柑かな 植村 博明
蜜柑剥く喧嘩のあとの兄妹 加藤 明男
もう半分まだ半分の蜜柑箱 須藤 光迷
生きるとは何ぞやなどと蜜柑むく 髙瀨 大虫
丁重に蜜柑の筋をとりし祖母 星川 佳子
傘寿には少し間のあり蜜柑剥く 横井 定利
蜜柑むくこともお互い自分流 今泉 而云
出勤の夫にみかんを持たせけり 大下 綾子
何もなきこと寿ぎて蜜柑喰う 中嶋 阿猿
「雑詠」
金糸張る雲の稜線初明かり 大沢 反平
釣舟の旗翩翻と二日かな 廣上 正市
買初が納豆豆腐といふ日常 金田 青水
冬の旅ボウイは星に還り行く 高橋ヲブラダ
個性とは歪みのことなり枯木立 中嶋 阿猿
(まとめ 廣上正市)