錦秋の尾瀬を吟行

番町喜楽会と日経俳句会の有志17人が10月14、15両日、晩秋の尾瀬ヶ原を歩いた。二日間とも好天に恵まれ、宿の東電小屋から見上げる満天の星空、早朝の朝霧などこの季節ならではの尾瀬ヶ原をたっぷり味わった。数人が木道で転倒負傷したり体力消耗でダウン寸前に至るなど思わぬハプニングもあったが、無事に二日間の行程をこなし、帰京後のメール句会も滞りなく完遂した。

草紅葉の中を延々と続く木道、遠くには紅葉した燧ヶ岳と至仏山、それらが逆さに映る池塘、そこに浮かぶヒツジ草をじっくり見ながら晩秋の尾瀬を満喫した。

ドラマチックな錦秋の尾瀬吟行に参加したのは、水牛幹事長以下、嵐田双歩、井上啓一、今泉而云、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、廣田可升、星川佳子、野田冷峰。

帰京後の句会は3句以上5句を幹事にメール送信、幹事が選句表を取りまとめ参加者に送信、6句選句で上位3句に「天」「地」「人」を付ける方式で行った。その結果、最高は今泉而云さんの「山々の底に尾瀬あり星月夜」で24点という圧倒的な得点。次席は13点で高井百子さんの「助け合ふ連衆の輪や秋の尾瀬」、三席は12点で、廣田可升さんの「今ここに居る不思議さよ草黄葉」の句だった。上記以外の各人の代表句は次の通り。

鍵盤のごとき階踏めば秋       嵐田 双歩

霜の階てんの足跡てんてんと     井上 啓一

身に入むや夕風渡る草の原      今泉 而云

熊除けの鐘打ち鳴らす霧の中     大澤 水牛

うつくしきものを育み水澄めり    大下 綾子

夫婦かな紅葉きざはし扶けあふ    岡田 臣弘

木道にすってんころりん草紅葉    澤井 二堂

草紅葉歩幅大きく山ガール      杉山 智宥

木道の果ては朝霧至仏山       高井 百子

たすけ合ひいたはり合ひて秋惜しむ  高瀬 大虫

新芽出し大往生の水芭蕉       田中 白山

陽だまりに仲間を待ちて尾瀬の秋   谷川 水馬

裾ひろげ裾を重ねて山粧ふ      玉田春陽子

朝霧や眠りの深き尾瀬ヶ原      堤 てる夫

晩秋の尾瀬吟行や一列に       野田 冷峰

大宇宙尾瀬を蔽ひて夜寒かな     廣田 可升

霜とけて萱に雫のネックレス     星川 佳子

(まとめ 堤てる夫)

 

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