日経俳句会第142回例会

 

日経俳句会第142回例会

 

「月」「虫」で高点句が二十五句も

 

日経俳句会の平成27年度第8回例会(通算142回)は9月16日(水)午後6時半、千代田区内神田の日経広告研究所会議室に19人の会員が出席して行われた。兼題は「月(つき、名月・十五夜など可)「虫(むし、虫時雨、個別の虫も可)」で、投句参加14人を加えて、投句総数は161句にのぼった。

選句7句の結果、最高は7点で大澤水牛さんの「雲くぐりまた雲くぐる月の舟」の1句。次席は横井定利さんの「お角力が自転車で行く赤とんぼ」の6点句。三席5点句は、高瀬大虫さんの「貌見れば昔のままの蝗かな」と、廣上正市さんの「黙といふ会話ありけり月今宵」の2句。

続く4点句は8句を数え、3点句は13句に上った。3点句までの高点句は25句。以下2点は22句、1点43句。兼題別の高点句は次の通り。

「月」

雲くぐりまた雲くぐる月の舟        大澤 水牛

黙といふ会話ありけり月今宵        廣上 正市

一時は月とらへたり大欅          大倉悌志郎

月の舟朽ちゆく街を渡り行く        大沢 反平

読み終へし手紙月下にまた開く       嵐田 双歩

名月を待ちて始まる影絵かな        大熊 万歩

鰡跳んで運河に揺るる月の陰        大倉悌志郎

薄雲の袖に隠れる月の顔          高石 昌魚

独り野に月の光の肌ざわり         谷川 水馬

遅月や季寄せ転がる枕元          谷川 水馬

物干しにきやりーぱみゅぱみゅ聴く良夜   横井 定利

「虫」

貌見れば昔のままの鰉かな         高瀬 大虫

古城址に武者の宴や虫しぐれ        大倉悌志郎

明日無しと思ひつめてや夜半の虫      大澤 水牛

虫の音や古りし頭巾の六地蔵        高石 昌魚

庭の虫戸を繰る音を覚えたり        堤 てる夫

虫の音に雨やむを知る夜半の床       星川 佳子

夜の気を鋭く研ぐや虫の声         大熊 万歩

虫の音や酸味効きたる向付         金田 青水

虫の音を聴きに二度目の湯浴みかな     澤井 二堂

「雑詠」

お角力が自転車で行く赤とんぼ       横井 定利

焼き栗をポッケにパリの蚤の市       須藤 光迷

むかご飯尼も一献般若湯          大倉悌志郎

山越えて義民の里や蕎麦の花        堤 てる夫

ベトナムの寺の痩猫秋簾          星川 佳子

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、鈴木好夫、杉山智宥、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、直井正、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、水口弥生

(投句参加)池村実千代、植村博明、大熊万歩、大沢反平、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永正裕、藤野十三妹、藤村詠悟、横井定利

(記録・てる夫)

 

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