日経俳句会第140回例会

日経俳句会は7月15日(水)午後6時半、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で、平成27年度第6回例会(通算140回)を開催した。猛烈台風11号の接近が気になる中、出席者は20人、投句参加者14人、投句総数163句と相変わらずの盛況だった。

兼題は「西日(にしび)」「梅干(うめぼし)」で、7句選句の結果、最高は8点で嵐田双歩さんの「背表紙に西日集めて古書の街」と、今泉恂之介さんの「歓声も我も馬券も西日中」の2句。次席7点は恂之介さんの「梅干して祖母は小さくなりにけり」の1句。三席は大倉悌志郎さんの「西日へと一直線に中央線」の6点1句。

続く5点句には、岡田臣弘さんの「剣先に西日一閃闘牛士」、須藤光迷さんの「短夜やふと目覚めれば一人なり」、徳永正裕さんの「西日背に敗れし球児一礼す」と「白南風や海を切り取る地曳網」の2句の合計4句が並んだ。4点は6句、3点は11句で、3点以上の高点句は25句を数えた。以下2点24句、1点36句。兼題別の3点以上高点句は次の通り。

「西日」

背表紙に西日集めて古書の街      嵐田 双歩

歓声も我も馬券も西日中        今泉恂之介

西日へと一直線に中央線        大倉悌志郎

剣先に西日一閃闘牛士         岡田 臣弘

西日背に敗れし球児一礼す       徳永 正裕

背に西日高層ビルのガラス拭き     植村 博明

六限は物理の時間大西日        廣上 正市

ふとももの張りも眩しや大西日     和泉田 守

当選す西日差し込む2DK         杉山 智宥

サーカスは西日の町を過ぎにけり    須藤 光迷

道化師の影長々と大西日        須藤 光迷

鉄橋に車渋滞大西日          高石 昌魚

梅干しや酸いも甘いも知りし皺     高瀬 大虫

西日さす切り分けられし部屋の色    星川 佳子

紅と藍刷毛目の空や西日落つ      水口 弥生

海原や西日の揺らぎ抱きしまま     水口 弥生

「梅干」

梅干して祖母は小さくなりにけり    今泉恂之介

梅干に歳月といふ隠し味        嵐田 双歩

酸き風を寝屋に吹き込む夜干し梅    大澤 水牛

「雑詠」

短夜やふと目覚めれば一人なり     須藤 光迷

白南風や海を切り取る地曳網      徳永 正裕

夕立ちやにこりともせず迎え傘     植村 博明

朝露に棘やわらかく紅の花       久保田 操

梅雨冷や庭に獣の入りし跡       廣上 正市

昼顔の砂利山登り咲きにけり      高瀬 大虫

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、横井定利(投句参加)池村実千代、和泉田守、植村博明、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、直井正、藤村詠悟、水口弥生、村田佳代

(まとめ・堤てる夫)

 

 

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