日経俳句会第139回例会

日経俳句会は5月20日(水)午後6時半、千代田区内神田の日経広告研究所(MIFビル)で、平成27年度第5回例会(通算139回)を開いた。兼題は「夏」「柿若葉」で、出席20人、投句参加16人から計170句の投句があった。7句選句の結果、最高は6点で、大下綾子さんの「割箸を割れば木の香のひらく夏」と、水口弥生さんの「朽ちゆくもいま柿若葉露地の家」の2句が並んだ。

次席は5点、大沢反平さんの「白雲を乗せて田水の夏初め」、岡田臣弘さんの「歌舞伎町ゴジラの目剥く夏の宵」、堤てる夫さんの「炎帝や雲浅間へと差し掛かる」、徳永正裕さんの「冷製と太く書かれし夏メニュー」、弥生さんの「黒揚羽即かず離れず地蔵まで」と5句が勢揃い。続く4点は6句、3点14句、2点28句、1点35句だった。

この日、親族のご不幸で句会欠席を余儀なくされた大澤水牛幹事長は、日経俳句会創始以来の連続出席が途切れた。代役の嵐田双歩幹事が句会進行をそつなく勤めた。新規入会の自由会員、溝口知宏さん(みぞぐち・ともひろ、日経編集局整理部、平成12年入社)が投句、選句に初参加した。4月句会に再登場した和泉田守さんが投句・選句に完全復帰し、雑詠の「通し矢の如く飛燕の空気裂く」で3点獲得した。兼題別高点句(3点以上)は次の通り。

「夏」

割箸を割れば木の香のひらく夏     大下 綾子

白雲を乗せて田水の夏初め       大沢 反平

歌舞伎町ゴジラの目剥く夏の宵     岡田 臣弘

冷製と太く書かれし夏メニュー     徳永 正裕

藍染の帽子がサイン兄の夏       金田 青水

夏来るメタセコイアの高きかな     廣上 正市

根津谷中千駄木廻り父の夏       横井 定利

犬の声子等の大声路地の夏       横井 定利

あの夏の国民学校二年生        今泉恂之介

納豆の今日は大粒夏は来ぬ       大熊 万歩

夏の日を息詰め集中治療室       大澤 水牛

破裂音飛び交う初夏の免税店      須藤 光迷

「柿若葉」

朽ちゆくもいま柿若葉露地の家     水口 弥生

家深くサックス聞こゆ柿若葉      大沢 反平

嬰児の手のふくらみや柿若葉      高石 昌魚

詰め襟の坊主頭や柿若葉        池村実千代

柿若葉日ごとに変る朝の彩       井上庄一郎

柿若葉蔵の白壁染めるほど       大倉悌志郎

牛居らぬ牛舎となれど柿若葉      大倉悌志郎

柿若葉校舎の隅の逆上がり       岡田 臣弘

柿若葉風に揺れおり淡き恋       野田 冷峰

地の水を縷々と吸い上げ柿若葉     流合研士郎

柿若葉窓全部開け昼の風呂       横井 定利

「雑詠」

炎帝や雲浅間へと差し掛かる      堤 てる夫

黒揚羽即かず離れず地蔵まで      水口 弥生

通し矢の如く飛燕の空気裂く      和泉田 守

インパール烈士の墓碑や仏桑花     岡田 臣弘

参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、流合研士郎、藤村詠悟、星川佳子、横井定利。(投句参加)池村実千代、和泉田守、大石柏人、大熊万歩、大澤水牛、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、鈴木好夫、高橋ヲブラダ、廣上正市、藤野十三妹、溝口知宏、水口弥生、村田佳代。

(まとめ・堤てる夫)

 

 

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