日経俳句会と酔吟会は6月17日(水)午後6時半から東京・内神田の日経広告研究所会議室(MIFビル)で、平成27年度上期合同句会(通算20回)を開催した。兼題は「入梅(にゅうばい)」と「梅雨一般」。出席22人、投句参加15人で、予め3句投句した計111句の選句表を基に事前選句した。
当夜の合同句会は投句選句の取りまとめを一手に引き受けてくれた嵐田双歩幹事による結果発表でスタート。その結果、大倉悌志郎さんの「日本橋ふと潮匂ふ梅雨入りかな」が最高の10点句。次席は玉田春陽子さんの「マネキンの担がれてゆく梅雨の入」の8点句。三席7点は双歩さんの「入梅や島影淡き瀬戸の海」、谷川水馬さんの「叢雲のなごり茜や梅雨に入る」、悌志郎さんの「冷奴吉野の杉の箸そろへ」の3句が並んだ。
続く6点は、廣上正市さんの「船の名を店の名にして古簾」の1句。5点は、大下綾子さんの「記憶よりくすみし校舎梅雨に入る」、金田青水さんの「入梅や少年のひげ薄つすらと」、澤井二堂さんの「蓮池の葉の大海や梅雨に入る」の3句。以下4点は7句、3点12句、2点12句、1点30句だった。
この合同句会に、昨年番町喜楽会から酔吟会に加わった春陽子、水馬両氏が初出席し、次席、三席を占める鮮やかなデビユーを飾った。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「入梅」
日本橋ふと潮匂ふ梅雨入りかな 大倉悌志郎
マネキンの担がれてゆく梅雨の入 玉田春陽子
入梅や島影淡き瀬戸の海 嵐田 双歩
叢雲のなごり茜や梅雨に入る 谷川 水馬
記憶よりくすみし校舎梅雨に入る 大下 綾子
入梅や少年のひげ薄つすらと 金田 青水
蓮池の葉の大海や梅雨に入る 澤井 二堂
楽団の音のそろはぬ梅雨入りかな 大下 綾子
入梅の雲海抜けて富士の嶺 高瀬 大虫
連山の墨絵となりぬ入梅かな 谷川 水馬
焦げ飯を醤油で握り梅雨入りかな 玉田春陽子
「梅雨一般」
梅雨寒やまたも乱るる衣裳棚 高石 昌魚
梅雨走る都電の軋む飛鳥山 岡田 臣弘
男梅雨坂東太郎ひろごりぬ 野田 冷峰
梅雨ごもる人の心の深き井戸 藤野十三妹
「雑詠」
冷奴吉野の杉の箸そろへ 大倉悌志郎
船の名を店の名にして古簾 廣上 正市
村境越えて十里の青田かな 今泉恂之介
まなうらに光跡消えぬ蛍かな 大下 綾子
蚯蚓喰ふすずめの爪の野生かな 金田 青水
夏空に放鳥の朱鷺はばたけり 久保田 操
そぞろゆく龍馬の海や夏の月 谷川 水馬
明け方の黄色い喇叭花胡瓜 大熊 万歩
飛び立ちてすぐに電線燕の子 大熊 万歩
紫陽花や移ろふ藍の今淡し 久保田 操
機を織る音すこやかに夏の月 須藤 光迷
紫陽花を背の六地蔵頬濡れる 高石 昌魚
噴水の眠りし後の池袋 横井 定利
参加者(出席)嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高瀬大虫、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、流合研士郎、藤村詠悟、星川佳子、横井定利。
(投句参加)大石柏人、大熊万歩、岡田臣弘、片野涸魚、加藤明男、金田青水、久保田操、高井百子、高石昌魚、高橋ヲブラダ、直井正、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、村田佳代。
(まとめ・てる夫)