日経俳句会第127回例会

日経俳句会は3月18日(火)午後6時半、鎌倉橋交差点傍の日経広告研究所(MIFビル)の会議室で、平成26年第3回例会(通算127回)を開いた。兼題は「若草(わかくさ)」「蜃気楼(しんきろう)」で、出席20人、投句参加11人、投句総数は149句。7句選句の結果、最高は田中頼子さんの「立山の崩れてゆけり蜃気楼」の7点句。次席は今泉恂之介さんの「夕べの灯揺るる運河や残り鴨」の6点句。三席5点句は、高瀬大虫さんの「どれも皆食べられさうで若草野」、藤野十三妹さんの「蜃気楼白衣のロレンス疾駆する」の計2句、続く4点句は11句が並んだ。3点句も11句で以下、2点25句、1点34句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「若草」

どれも皆食べられさうで若草野     高瀬 大虫

若草や三角ベース転(まろ)びし日   岡田 臣弘

若草の覆ひ尽くせり津波跡       直井  正

若草の顔出す土手を万歩計       井上庄一郎

若草に染まる爪先スニーカー      大熊 万歩

若草よすくすく伸びよ被災の地     久保田 操

「蜃気楼」

立山の崩れてゆけり蜃気楼       田中 頼子

蜃気楼白衣のロレンス疾駆する     藤野十三妹

戦艦の二隻三隻蜃気楼         今泉恂之介

海底に大樹林あり蜃気楼        今泉恂之介

蜃気楼消えて浜辺の人帰る       植村 博明

戦なき地球の夢や蜃気楼        高石 昌魚

「雑詠」

夕べの灯揺るる運河や残り鴨      今泉恂之介

みちのくやいつもの色の春の海     嵐田 啓明

木の芽どき音なく動く雑木山      大倉悌志郎

寺町のどこかで梅が咲いている     大沢 反平

ゆるゆると勝鬨越ゆる春の雲      大沢 反平

想ふ人あるだけで良し老いの春     高瀬 大虫

花すみれ残して墓の草を引く      田中 頼子

ふらここの横漕ぎを知る拗ねはじめ   廣上 正市

料峭や二円切手のシート買ふ      吉野 光久

ほたほたと吃水なぶる春の潮      吉野 光久

あつたかいねえ犬と会話の春野かな   大沢 反平

産直の菜にまじりをる春の草      金田 青水

身も竿もよくしならせて遅日かな    廣上 正市

年下の亭主の噂春の月         星川 佳子

参加者(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、村田佳代、横井定利(投句参加)池村実千代、植村博明、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、金田青水、久保田操、田中頼子、藤野十三妹、山田明美、吉野光久                (まとめ・堤てる夫)

 

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