平成25年上期合同句会を開催

日経俳句会は6月18日午後6時半、平成25年上期の合同句会を東京・神田鎌倉橋の日経第二別館会議室で開いた。投句者38人、投句総数114句。兼題を含め3句を投句し、事前選句(5句)した。句会当日は蒸し暑い梅雨の最中にもかかわらず、21人が出席し、13人が欠席選句を提出した。幹事が整理した選句集計をもとに、4点以上の作品について参加者全員がこもごも句評、活気ある句会になった。

最高点の8点は大下綾子さんの「バス停に旧き町名麦の秋」。7点は片野涸魚さんの「原節子いずくに在りや麦の秋」が選ばれた。両氏は他の句でもそれぞれ5点句に選ばれている。6点は「肩車して麦秋のど真ん中」( 横井定利)、「飛魚やしばし忘るる船の揺れ」(植村博明)、「父の日の小さくなりし背中かな」(嵐田啓明)の3句。

昨年上期の合同句会は18点句が出現するなど大荒れになったが、今回は選句が全体にばらついた感じがある。また、高点句は時候の季題である「麦の秋」に集中し、「飛魚」には少なかった。そうした中で、金田青水さんの投句した3句すべてが4点句に選ばれれたことが話題になった。兼題別の高点句は以下の通り。

 

「麦の秋」

バス停に旧き町名麦の秋      大下 綾子

原節子いずくに在りや麦の秋    片野 涸魚

肩車して麦秋のど真ん中       横井 定利

麦秋や美瑛の丘の空青し       高石 昌魚

麦の秋手織の機の軽き音      徳永 正裕

国東は鬼さへやさし麦の秋     野田 冷峰

麦秋や就活女子の黒スーツ     金田 青水

麦秋の母を離れぬ仔馬かな     嵐田 啓明

麦秋や前髪ちょきん切ってみる   池村実千代

白馬から信濃は青し麦の秋     大沢 反平

みちくさの子らの石蹴り麦の秋   吉野 光久

 

「飛魚」

飛魚やしばし忘るる船の揺れ    植村 博明

飛魚の眼(まなこ)の先の海と空      大下 綾子

飛魚とんで隠岐へのフェリー先導す 大倉悌志郎

飛魚や黒潮太く蛇行せり      金田 青水

飛魚や後に先にと島航路      大熊 万歩

 

「当季雑詠」

父の日の小さくなりし背中かな   嵐田 啓明

新樹湧くごとし前方後円墳     今泉恂之介

行きゆきて青嶺の奥の無言館    大澤 水牛

どくだみや余生の日々の長きこと  片野 涸魚

古刹から洋食匂う梅雨晴間     杉山 智宥

豆腐屋の昼は閉ぢをり柚子の花   星川 佳子

霧を出てまた霧のなか峠道     大石 柏人

新宿の路地よりぬっと夏の月    大倉悌志郎

曝書の手とめて見入るやクレヨン画 金田 青水

スカイツリー頭かくして梅雨来る  澤井 二堂

百選の町の湧水夏つばめ      廣上 正市

(まとめ 堤てる夫)

 

 

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