日経俳句会は3月19日(火)午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経第二別館8階会議室で、平成25年第3回例会(通算117回)を開いた。兼題は「余寒(よかん)」「桃の花(もものはな)」、出席者は26人で会議室は「ほぼ満席」、投句参加10人の合計36人から170句の投句があった。
7句選句の結果、大熊万歩さんの「仁王像さらに目をむく余寒かな」が11点を集めて最高点。次席は吉野光久さんの「点滴の管のもつるる余寒かな」が9点、辛い治療にめげない頑張りが今月も続く。三席は佐々木碩さん「一湾の風に骨透く干鰈」の8点句。続く7点句は嵐田啓明さんの「石段に鳩吹き溜まる余寒かな」で、啓明さんはこのほか「大きめの産衣は木綿桃の花」で6点を獲得し、4点句、3点句もあり、投句5句中4句が高点句という快挙。
啓明さん以外の6点句は、植村博明さんの「金貸した男と出会ふ余寒かな」と、星川佳子さんの「しゅるしゅると帯結ぶ音桃の花」の計3句。5点句には佳子さんの「尼さんによく会ふ日なり春の風」と、佐々木碩さんの「湯煙りの透きとおりたる余寒かな」、須藤光迷さんの「肩車して春風の中を行く」の合計3句。以下、4点6句、3点10句、2点24句、1点12句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「余寒」
仁王像さらに目をむく余寒かな 大熊 万歩
点滴の管のもつるる余寒かな 吉野 光久
石段に鳩吹き溜まる余寒かな 嵐田 啓明
金貸した男と出会ふ余寒かな 植村 博明
湯煙りの透きとおりたる余寒かな 佐々木 碩
丸刈りの頭を撫でる余寒かな 加藤 明男
キリン舎の余寒の空に首ばかり 徳永 正裕
梵鐘の音地に沈む余寒かな 徳永 正裕
裸馬余寒の麓に草食めり 嵐田 啓明
神殿の軋む廊下や余寒あり 加藤 明男
二羽の鳩微動だにせぬ余寒かな 久保田 操
カラ元気伝わる電話余寒かな 杉山 智宥
「桃の花」
大きめの産衣は木綿桃の花 嵐田 啓明
しゅるしゅると帯結ぶ音桃の花 星川 佳子
上履きに赤の縁取り桃の花 嵐田 啓明
桃のはな弥勒菩薩の指の先 加藤 明男
もめごとはなしにしようね桃の花 池村実千代
山裾の日に日に染まる桃の花 久保田 操
育爺と呼ばれて嬉し桃の花 須藤 光迷
里山の地蔵の笑顔桃の花 高石 昌魚
控え目に泣く子なりけり桃の花 廣上 正市
「雑詠」
一湾の風に骨透く干鰈 佐々木 碩
肩車して春風の中を行く 須藤 光迷
尼さんによく会ふ日なり春の風 星川 佳子
野焼の火長門石見の国ざかひ 大澤 水牛
月朧萬年橋に猫群れて 横井 定利
参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、来間紘、佐々木碩、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、山田明美、横井定利(投句参加)和泉田守、大石柏人、加藤明男、金田青水、久保田操、澤井二堂、高橋淳、田中頼子、村田佳代、吉野光久
(まとめ・堤てる夫)