日経俳句会の平成25年初句会は1月22日(火)午後6時半から内神田鎌倉橋交差点そばの日経第二別館会議室で開かれた。出席者は24人だったが、投句参加者が16人に上り、投句総数が193句とまたまた記録更新となった。諸般の事情で句会から遠ざかっていた和泉田守さんと加藤明男さんが復帰するという新春早々嬉しい知らせがあり、この日の句会に句が寄せられた。また、年末年始を残念ながら病院で過ごされた吉野光久さんも元気に投句して来た。
兼題は「寒の水」と「風呂吹」。欠席投句が多かったため選句を7句として句会を進めた結果、最高点は10点で「一病を抱いて一汲み寒の水 正市」と「真っ青な竹柄杓あり寒の水 光迷」の2句だった。次いで7点が「遺影抱く振袖の列成人式 てる夫」の1句、6点が「尖る音水琴窟の寒の水 万歩」の1句。以下、5点が5句、4点8句、3点10句、2点21句、1点が54句という結果になった。3点以上獲得した句は次の通り。
「寒の水」
真っ青な竹柄杓あり寒の水 須藤 光迷
一病を抱いて一汲み寒の水 廣上 正市
尖る音水琴窟の寒の水 大熊 万歩
ひよどりのうまさうに呑む寒の水 金田 青水
菜の屑の残る手桶や寒の水 廣上 正市
寒の水魚捌く手の赤さかな 杉山 智宥
わさび田に根性注ぐ寒の水 髙瀬 大虫
寒の水杜氏一礼して注ぐ 田中 頼子
寒の水青空映し流れけり 流合研士郎
寒の水波紋の芯に花一輪 流合研士郎
それらしき味がするなり寒の水 植村 博明
酒蔵に活気満ちるや寒の水 大熊 万歩
寒の水きりりと指間透りけり 大沢 反平
寒の水含みて神気かけ巡る 野田 冷峰
「風呂吹」
風呂吹にフォークを添える六本木 深田森太郎
風呂吹や今宵みちのく純米酒 嵐田 啓明
ぬる燗に合うものふろふき古女房 大石 柏人
風呂吹や小皺のふえし片笑窪 髙石 昌魚
風呂吹きや老眼鏡が邪魔になり 堤 てる夫
風呂吹や柚子の香運ぶ赤き椀 水口 弥生
「当季雑詠」
遺影抱く振袖の列成人式 堤 てる夫
病廊にうなづき交はす年の礼 吉野 光久
遥かなるものにつながれ凧 吉野 光久
しばらくは雪積む貨車と並走し 大下 綾子
老いし目に白さ眩しき残り雪 久保田 操
またひとつパゴダ浮き出す初日かな 髙瀬 大虫
一月や小銭を貯めし布袋尊 徳永 正裕
(まとめ 大澤水牛)