日経俳句会は番町喜楽会と合同で1月12日(土)新春恒例の七福神巡り吟行を行った。平成25年は徳永正裕幹事のお膝元、千葉県・佐倉の七福神巡りと歴史博物館探訪。19人の大所帯で、ぽかぽか日和の佐倉市内を経巡った。
午前10時に京成佐倉駅に集合、午前中は佐倉城址にある歴博を見学。昼食後、七福神巡りを始める。佐倉七福神と銘打って売り出してから今年が十周年だそうである。だから、まだ彫りたてで石肌がきらきら輝いている福禄寿や布袋尊が鎮座ましましている。後発組だけに地元の売り出し熱意は大変なものだ。京成佐倉駅前には「佐倉七福神」と染め抜いた幟が掲げられ、街中あちこちに幟や看板が眼につく。手拭いやバッジ、煎餅、人形焼など七福神グッズもあれこれ売り出している。メインストリートにある歴史生活資料館では、七福神全部を回りきれなかった人のために、色紙に抜けた社寺の御朱印スタンプを一つ二百円で押すサービスまでやっている。時間が足りない我々一行も神社一つ、寺二つで時間になってしまい、抜けた御朱印を押してもらった。
吟行の締め括りは「最後の佐倉藩主」堀田正倫が明治二十三年に建てた邸宅。庭園とともに明治期の高級住宅として今に残る貴重な文化遺産だ。最後の殿様のお屋敷は作りはしっかりしており、最高品質の材木で作られていることが素人眼にも分かる。たぶん旧佐倉城にあったものだろう、立派な御影石のつくばいに山雀がきてとまった。明けましておめでとうとでも言うように首を上下に振って、形の良い松の枝に飛び移った。うらうらと冬の陽射しは早くも傾き始めている。
三時半を回った頃、山を下って元の町並みに戻り川瀬屋という蕎麦屋で懇親会。帰京後、徳永幹事が捌き手となり、メールによる投句・選句で句会を行った。投句は5句で、選句は「天(5点)」「地(3点)」「人(2点)「入選(1点)」の4句で行ったメール句会の結果は、最高点が20点で「山雀の御慶に来たる殿の庭 大澤水牛」、次席が13点で「冬ぬくし腹に小銭の布袋尊 今泉恂之介」「福詣ふわっとふくをしょひにけり 池村実千代」の2句、次いで「福めぐり花簪のひともゐて 大石柏人」が10点を獲得した。参加者の人気を呼んだ句は以下の通り。
道たずねせんべいもらふ初吟行 池村実千代
木漏れ日や鳥の声する枯葎 今泉恂之介
八十路越えやっと歩けり福めぐり 大石 柏人
冬ぬくし槙の垣根の武家屋敷 大澤 水牛
弁天は引き戸の向う寒の内 大沢 反平
寒紅梅藩主の偉業香ぐはしく 岡田 臣弘
福詣心は青き空にあり 久保田 操
医の集ふ蘭学通り寒椿 澤井 二堂
縄文の土偶ぺちゃくちゃ冬温し 須藤 光迷
福詣〆は猫飼ふジャズの店 玉田春陽子
福詣りひとつの寺に福ふたつ 田中 白山
家苞は亀甲もなか福詣 谷川 水馬
鉤の手の佐倉冬町武道具屋 徳永 正裕
日の本を知るよすがなり福巡り 野田 冷峰
山茶花の赤く彩る武家屋敷 藤村 詠悟
犬待たせ集合写真冬日射し 星川 佳子
喜楽人佐倉に集ひ福詣 前島 厳水
布袋腹賽銭こぼし冬日和 水口 弥生
(まとめ 大澤水牛)