番町喜楽会は9月3日(月)午後6時半から千代田区九段生涯学習館で第84回例会を開催した。兼題は「野分(のわき)」と「蜩(ひぐらし)」で、雑詠を含めて投句総数は95句、6句選句の句会の結果、最高は須藤光迷さんの7点句「一病を得て蜩の声ふかし」。次席は高瀬大虫さんの「蜩の尾瀬を渡りて風となり」の5点句。三席は4点句で、今泉而雲さんの「こんな日にと言はれて出でし野分中」と、谷川水馬さんの「尻高く伸びする犬や野分晴れ」の2句。以下、3点句は9句、2点14句、1点26句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「野分」
こんな日にと言はれて出でし野分中 今泉 而雲
尻高く伸びする犬や野分晴れ 谷川 水馬
また一人居間に集まる野分かな 笹本 塘外
野分晴ひたと墨打つ宮大工 玉田春陽子
野分過ぐ気うつ薄紙はぐやうに 山口斗詩子
「蜩」
一病をえて蜩の声ふかし 須藤 光迷
蜩の尾瀬を渡りて風となり 高瀬 大虫
蜩や遊び疲れし子等に鳴き 笹本 塘外
蜩や合わせ鏡のなかの顔 高橋 楓子
蜩に後期高齢共振す 前島 巌水
「雑詠」
世の役に立たぬ男と糸瓜かな 今泉 而雲
手旗もて道示さるる残暑かな 今泉 而雲
今朝の秋窓に綿雲ひとつ来て 笹本 塘外
参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高瀬大虫、高橋楓子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)岩沢克恵、加沼鬼一、高井百子、野田冷峰、山口斗詩子(まとめ・堤てる夫)