日経俳句会の銀鴎会と水木会が合併、新たに「日経俳句会例会」として句会活動を進めることになり、初例会(水木会の例会開催回数を受け継ぐこととしたため今回が第110回)が7月18日(水)午後6時30分から鎌倉橋交差点そばの日経第2別館8階会議室で開かれた。参加者は投句参加者を含めて31人、投句総数は150句と、ぐんと大型の句会となった。
兼題は「白南風(しろはえ)」「胡瓜(きゅうり)」で、7句選句で句会を進めた結果、最高は高橋淳さんの「キュウリ噛む鼻の奥まで夏となる」の6点句。次席5点は今泉恂之介さんの「あの頃は胡瓜の端が苦かった」、大熊万歩さんの「胡瓜揉むかすかに残る火傷跡」、須藤光迷さんの「白南風に干物ほどよき塩加減」、流合研士郎さんの「白南風や帽子に長き白リボン」と4句。勤務の都合で自由会員だった流合さん、復帰早々の高点句。新入会の来間紘さんが投句、選句に初参加した。
3席4点が7句、続く3点が16句と3点以上の高点句が28句に上った。以下、2点16句、1点42句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「白南風」
白南風に干物ほどよき塩加減 須藤 光迷
白南風や帽子に長き白リボン 流合研士郎
白南風や逃げ足早き磯の虫 嵐田 啓明
白南風や麻のクロスにミントティー 池村実千代
白南風や漂流中の魔法瓶 大熊 万歩
白南風やシーサーの尾の丸くなり 須藤 光迷
白南風の天守閣より阿蘇の見ゆ 嵐田 啓明
白南風や浜過ぎてゆく葬の列 今泉恂之介
白南風や球児の声に砂ぼこり 加藤 明男
白南風やバケツ転がる船着場 植村 博明
白南風や波を知らざる深海魚 佐々木 碩
白南風やスズメ水浴びする轍 杉山 智宥
白南風や素肌だす人かくす人 高瀬 大虫
白南風やうたた寝に聞く遠汽笛 流合研士郎
白南風や女が一人旅立ちて 山田 明美
白南風や裾野に上がる熱気球 吉野 光久
「胡瓜」
キュウリ噛む鼻の奥まで夏となる 高橋 淳
あの頃は胡瓜の端が苦かった 今泉恂之介
胡瓜揉むかすかに残る火傷跡 大熊 万歩
取り忘れ胡瓜の笑ふ夜の畑 大澤 水牛
窓おほひまた二つ三つ花胡瓜 金田 青水
胡瓜絶つ博多山笠男衆 嵐田 啓明
もぎたての胡瓜香るや朝の膳 久保田 操
くるくると命は螺旋胡瓜伸ぶ 星川 佳子
うつとりと胡瓜の曲がり見てをりぬ 横井 定利
渓流に胡瓜浸して旅の果て 吉野 光久
「雑詠」
小流れにビール沈めて蕎麦の店 今泉恂之介
草むしるむきになるなと呟きて 廣上 正市
参加者(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、大熊万歩、大澤水牛、大平睦子、来間紘、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋淳、堤てる夫、徳永正裕、直井正、流合研士郎、廣上正市、星川佳子(投句参加)池村実千代、植村博明、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、田中頼子、藤野十三妹、山田明美、吉野光久 (まとめ・堤てる夫)