水木会第109回例会

日経俳句会水木会は5月16日(水)午後6時半から東京・大手町の日経本社7階会議室で平成24年度第5回例会(通算109回)を開いた。兼題は「初夏(しょか)」と「初鰹(はつがつお)」で、投句総数は111句といつもに比べ少な目だった。参加者は出席者が10人に対して欠席投句者が13人と「逆転」現象。そのため出席者による選句数をいつもより多い7句としたせいか、選句がばらけて最高が5点でわずか1句、次席4点が5句、続く3点が12句に上るという、珍しい結果になった。

5点句は「初鰹今朝の今朝まで太平洋」で植村博明さんの作。4点句は大下綾子さんの「屋外に椅子を持ち出す夏はじめ」、久保田操さんの「夕立ちや広重描く人となり」、徳永正裕さんの「目覚めては布団の重さ夏初め」、廣上正市さんの「箸の順譲り合ひたり初鰹」、横井定利さんの「大川の風懐に初鰹」の5句。以下3点12句、2点15句、1点26句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

 

「初鰹」

初鰹今朝の今朝まで太平洋          植村 博明

箸の順譲り合ひたり初鰹           廣上 正市

大川の風懐に初鰹              横井 定利

黒潮の縞くつきりと初鰹           佐々木 碩

てきぱきと島の女の初鰹           星川 佳子

戸障子を開けつ放しに初鰹          横井 定利

癒えし夜のなにはともあれ初鰹        吉野 光久

 

「初夏」

屋外に椅子を持ち出す夏はじめ        大下 綾子

目覚めては布団の重さ夏はじめ        徳永 正裕

初夏の宵若き指揮者のデビューかな      大熊 万歩

初夏や葉ずれの音のどこまでも        大下 綾子

パン生地の育つがごとし初夏の山       高橋  淳

山地図に赤き線引く夏初め          廣上 正市

初夏や少女の挑む逆上がり          吉野 光久

 

「雑詠」

夕立ちや広重描く人となり          久保田 操

雨粒のぐんと大粒五月来る          大澤 水牛

ふらここの空を知りたる二歳かな       廣上 正市

老鶯のすぐ傍にゐて鍬振るふ         廣上 正市

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、大澤水牛、佐々木碩、杉山智宥、堤てる夫、廣上正市、星川佳子、横井定利(投句参加)植村博明、大熊万歩、大下綾子、金田青水、久保田操、澤井二堂、高石昌魚、高橋淳、徳永正裕、直井正、藤野十三妹、山田明美、吉野光久                    (まとめ・堤てる夫)

 

This entry was posted in 句会報告. Bookmark the permalink.

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>