水木会の平成24年度第3回例会(通算107回)は3月21日(水)午後6時半、日経本社7階会議室で開かれた。闘病中の山口詩朗さんが14日に急逝、この句会に早速四句の追悼句があった。そのうちの2句が大澤水牛さんの作品で、一つはこの日最高の9点を集めた「飯粒ぽろぽろ熱弁詩朗卒業す」であった。もう一句は「梅が香に乗りて好漢逝きにけり」の4点句。春には冷たい日和の通夜・葬儀、週が明けての句会は詩朗さんを悼む空気が溢れた。
兼題は「春眠」と「卒業」で、水牛さんの9点句に次いで、次席は佐々木碩さんの「春眠や足の先まで日曜日」が7点句。続く6点は、今村聖子さんの「みちのくに生きると決めて卒業歌」、植村博明さんの「卒業の寄せ書きにあるわがくせ字」の2句。次いで5点句が横井定利さんの「知らぬ子が会釈していく卒業期」、須藤光迷さんの「菜の花の海をゆるゆる乳母車」、徳永正裕さんの「バリバリと春キャベツ喰む身重かな」の3句が並んだ。
以下4点3句、3点9句、2点24句、1点25句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「春眠」
春眠や足の先まで日曜日 佐々木 碩
春眠の起きなくてよい寂しさよ 杉山 智宥
「卒業」
飯粒ぽろぽろ熱弁詩朗卒業す 大澤 水牛
みちのくに生きると決めて卒業歌 今村 聖子
卒業の寄せ書きにあるわがくせ字 植村 博明
知らぬ子が会釈して行く卒業期 横井 定利
「卒業」を見し映画館今はなく 大熊 万歩
卒業や古稀になりても同級生 金田 青水
待ち合わせ明日からはなし卒業日 高橋 淳
「雑詠」
菜の花の海をゆるゆる乳母車 須藤 光迷
バリバリと春キャベツ喰む身重かな 徳永 正裕
梅が香に乗りて好漢逝きにけり 大澤 水牛
沈丁花女の支度門で待つ 星川 佳子
島浮かべ鰆の海のまさをなる 吉野 光久
ながながと伸びする春の駄犬かな 嵐田 啓明
対岸に並ぶ釣り人風光る 今村 聖子
つくしんぼスカイツリーも仲間かな 大熊 万歩
墨堤の春の日統べて天空樹(スカイツリー) 吉野 光久
参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、大澤水牛、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、高石昌魚、堤てる夫、徳永正裕、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利。(投句・選句参加)今村聖子、植村博明、大熊万歩、金田青水、久保田操、高橋淳、直井正、藤野十三妹、山田明美。(投句参加)小林豊彦、須藤光迷、吉野光久。 (まとめ・堤てる夫)