番町喜楽会は1月9日(祭日)午後6時半から千代田区立九段生涯学習館の4階集会室で、平成24年度の初例会(通算76回)を開いた。出席者は久方ぶりに姿を見せた加沼鬼一はじめ16人、それに投句参加4人と賑やかに新年の幕開けをした。兼題は「去年(こぞ、去年今年も可)」と「焚火(たきび)」で、事前に雑詠を含めて5句投句。事前作成の投句一覧表をもとに選句6句の披講に入り、スピーディーに進んだ。
その結果、最高の6点を得たのは山口詩朗さんの「ガラス戸に初春の子の手形あり」と「塩辛の味整ひぬ寒の入り」の2句。年末入院という憂き目の詩朗さんにはまさに「両手に花」の結果だった。句会当日朝には幹事に選句結果を電話連絡してきたそうで、病床の熱意が句会に伝わってきた。次席は4点で「泰然と高野槇立つ去年今年 高井百子」「去年今年ざくり頭(かうべ)の手術痕 堤てる夫」「蓮根のどの穴となく去年今年 野見山恵子」の3句。以下3点句が6句続いた。
兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「去年(こぞ、去年今年)」
泰然と高野槇立つ去年今年 高井 百子
去年今年ざくり頭(かうべ)の手術痕 堤 てる夫
蓮根のどの穴となく去年今年 野見山恵子
開運といふ酒酌みて去年今年 大澤 水牛
我が性根鏡に問ふや去年今年 玉田春陽子
「焚火(たきび)」
火を焚くや赤尾の豆単めくれをり 井上 啓一
大海に朝月残す磯焚火 岩沢 克恵
夜焚火や原人そばにゐるような 徳永 正裕
用なき身と思へば焚火なほ親し 野見山恵子
「雑詠」
ガラス戸に初春の子の手形あり 山口 詩朗
塩辛の味整ひぬ寒の入り 山口 詩朗
参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、加沼鬼一、笹本塘外、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、谷川透、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子、前島巌水(投句参加)岩沢克恵、野見山恵子、三好六甫、山口詩朗(選句参加)高橋楓子、山口詩朗
(まとめ・堤てる夫)