番町喜楽会は11月7日(月)午後6時半過ぎから東京・九段下の千代田区立生涯学習館4階会議室で、第74回例会を開いた。昼間の都心は22度を超す陽気だったが、夕刻になるとやはり晩秋、温かいものが恋しくなってきた。「立冬」「障子」を兼題に雑詠を含めて90句が寄せられた。6句選句で句会を進めた結果、高点句は4点が5句、3点5句の10句だった。
この例会に井上啓一さん令嬢の美恵さんと夫のジョセフ・ダブルッゾ夫妻が特別参加した。スイスで銀行に勤めるジョゼフさんが災害地ボランティア活動で来日した機会に「句会研究」にも時間を振り向けたもので、美恵さんが選句に加わった。その6票は高点句4句に投ぜられ「選句の力量は大したもの」と拍手を浴びた。(堤てる夫記)
当夜の兼題別高点句は次の通り。
「立冬」
朝刊をめくる風にも冬来たり 谷川 透
白衣には紺カーディガン冬に入る 堤 てる夫
「障子」
一輪のある閑かさや白障子 井上 啓一
本堂の障子震はすジャズバンド 谷川 透
老い猫の障子にかまふこともなし 星川 佳子
障子越し陽射しぬくぬく妻の留守 大澤 水牛
障子開け鞍馬の神気招き入れ 徳永 正裕
淋しさの距離だけ動く古障子 三好 六甫
「雑詠」
手術済むを待つ五時間の秋日影 大澤 水牛
どてら着る後ろ姿や百耕忌 高井 百子
参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、高橋楓子、谷川透、玉田春陽子、堤てる夫、星川佳子、前島巌水、山口詩朗(投句参加)岩沢克恵、徳永正裕、野田冷峰、三好六甫