日経俳句会水木会は11月16日(水)午後6時半から、東京・大手町の日経本社7階会議室で11月例会(通算104回)を開いた。「冬めく」「熱燗」の兼題句に雑詠を含め投句5句、選句7句を事前に済ませるメール句会方式で実施した。今シーズン一番の冷え込みを記録したこの日、話題となったのは「熱燗」。杉山智宥さんの「熱燗がトントンと来る二階部屋」の句が最高の7点で、下戸の作者に拍手が沸いた。また「熱燗や忘れし歌の蘇る 水口弥生」「熱燗や出奔に似し北の旅 山口詩朗」の2句もやはり下戸の作で、「やはりこういう季語は酒を飲まない人の方が冷静に見るのでいいのかも」という呑兵衛会員の嘆き節も出るなど会場は大いに沸いた。
次席句は5点で、今村聖子さんの「捨てられぬ空箱いくつ花八手」と、佐々木碩さんの「熱燗や胸につかえるもの溶かす」の2句。聖子さんの作品は「俳句らしい俳句」と賛辞盛んだった。4点句は広上正市さんの「てつぺんを鳥に残して柿もげり」の1句。3点句は6句、2点24句、1点32句と続いた。兼題別の高点句は次の通り。
「冬めく」
冬めきて電車貫く日差しあり 金田 青水
冬めいていつもの坂に富士が寄る 杉山 智宥
冬めくや寺の日暮れは一段ずつ 山口 詩朗
「熱燗」
熱燗がトントンと来る二階部屋 杉山 智宥
熱燗や胸につかえるもの溶かす 佐々木 碩
熱燗や円座二分のTPP 広上 正市
熱燗や忘れし歌の蘇る 水口 弥生
熱燗や出奔に似し北の旅 山口 詩朗
「雑詠」
捨てられぬ空箱いくつ花八手 今村 聖子
てつぺんを鳥に残して柿もげり 広上 正市
参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、今村聖子、植村博明、大澤水牛、小林啓子、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、堤てる夫、徳永正裕、広上正市、藤野十三妹、星川佳子、横井定利、山口詩朗(投句参加)大下綾子、大熊万歩、金田青水、久保田操、佐々木碩、高橋淳、直井正、水口弥生、吉野光久 (まとめ・堤てる夫)