4月2日(土)午後1時から東京・内神田の日経第二別館会議室で第67回番町喜楽会が行われた。番町句会と喜楽会が合併して最初の句会だった。3月に実施した松山吟行に日経俳句会から参加した堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子の4氏が入会し、番町喜楽会は総勢21名の陣容になった。
例会出席者は今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高井百子、高橋楓子、谷川透、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野見山恵子、前島厳水、三好六甫、星川佳子の14人。投句参加が井上啓一、岩沢克恵、加沼鬼一、野田冷峰の4人。高瀬大虫も実際は事前投句していたのだが、幹事の不手際で句会にかけることができなかった。
3月11日の東日本大震災によって破壊された東電福島原子力発電所の事故処理はなかなか進まず、相変わらず高濃度の放射線が洩れ出して、人々に不安を抱かせている。東京近辺も計画停電、電車の運転本数削減、食品類などの品数不足といった大震災の影響が色濃く残っている。当初は今回の例会開催を危ぶむ声もあったが、いつまで閉じ籠もっていてもかえってくさくさするばかりだと、思い切って開催した。その結果は「吹っ切れて元気が出て来た。やはり開いて良かった」という声が圧倒的で、震災にまつわる句を含め佳句が続出した。
この日の兼題は「踏青」と「鳥帰る」。投句5句、選句7句で句会を行った結果、最高は5点で「あの山はふるさとに似て青き踏む 楓子」と「伊予の春猫鯛を抱くのれんかな 透」の2句。続く4点は「春休み何年生でもない時間 佳子」「初蝶や料理教室ガラス張り 春陽子」「買ひだめの一人となりて春寒し 而雲」の3句だった。以下、3点が8句、二点9句、一点が34句も現れた。3点以上獲得句は次の通り。
「踏青」(青き踏む)
あの山はふるさとに似て青き踏む 高橋 楓子
気がつけば人の庭先青き踏む 星川 佳子
踏青や空の匂ひをかぎに行く 三好 六甫
青き踏むなり山の辺の平和かな 岩沢 克恵
父祖の地に似たる川辺や青き踏む 今泉 而雲
「鳥帰る」
野馬追の原も埋もれて鳥帰る 大澤 水牛
「雑詠」
伊予の春猫鯛を抱くのれんかな 谷川 透
春休み何年生でもない時間 星川 佳子
初蝶や料理教室ガラス張り 玉田春陽子
買ひだめの一人となりて春寒し 今泉 而雲
あたたかやどこまで伸びる亀の首 堤 てる夫
伊予や春手を上げて呼ぶ渡し舟 須藤 光迷
攫はれし六角堂や春の海 徳永 正裕