水木会の平成22年第10回例会(通算94回)は11月17日(水)午後6時半、日経本社7階会議室で開かれた。「冬めく」と「海鼠」が兼題になった今年最後の例会、出席者は18人、投句参加者は11人で、投句総数は137句と賑わった。7句選句の結果、最高の5点句に5人が並んだ。次席4点は2句、3点が8句、2点14句、1点42句と続いた。
「海鼠は難しくてどう詠めばいいのか分からず、困った」という人が多かった。確かに難しい兼題だったが、蓋を開けてみると5点句5句のうち4句、4点は2句とも海鼠の句が占めた。兼題別、三点以上の高点句は次の通り。
「冬めく」
冬めくや塀の向うの鋏音 広上 正市
陽の当たる席から埋まり冬めきぬ 嵐田 啓明
冬めくや何気なく買ふ湯切り笊 金田 青水
冬めくや万年筆で日記書く 小林 啓子
頬髯のまた欲しくなり冬めきて 須藤 光迷
冬めくや留守電に聞く母の声 横井 定利
「海鼠」
海鼠みて喜怒哀楽をしまひけり 池村実千代
争ひて一日海鼠になってをり 佐々木 碩
抗はず海鼠切らるる暗夜かな 徳永 正裕
何もかも肚に収めし海鼠かな 水口 弥生
出刃研ぐや海鼠じわりと動きけり 大澤 水牛
起も承も転結もなく海鼠かな 広上 正市
国東の海の蒼さの海鼠かな 嵐田 啓明
語るほどおのれもたざる海鼠かな 大下 綾子
「雑詠」
警官に挨拶される夜寒かな 杉山 智宥
<句会出席者> 池村実千代、和泉田守、今泉恂之介、植村博明、大澤水牛、岡崎亘博、久保田操、小林啓子、杉山智宥、須藤光迷、堤てる夫、徳永正裕、広上正市、星川佳子、水口弥生、山口詩朗、横井定利、吉野光久
<投句参加者> 嵐田啓明、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、佐々木碩、高石昌魚、高橋淳、平山一雄、藤野十三妹、山田明美