6月21日「俳句の殿堂」旗揚げ式に38人
八十歳以上の長寿会員を祝う
NPO法人・双牛舎の新事業である「俳句の殿堂」の旗揚げ式が、6月21日に千代田区大手町の日経ビル内で開催され、参加者の総意でプロジェクト推進が決まった。来年1月の殿堂発足を目標に運営選考委員会を立ち上げ、実行計画づくりを急ぐことになった。
旗揚げ式には双牛舎に加わっている三つの句会(日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会)の会員38人が雨をついて出席。日経俳句会の中沢義則会長が開会の辞を述べた後、双牛舎の大澤水牛代表が殿堂について「数年前から温めていた構想で、双牛舎のホームページに専用ページを設け、70歳以上の会員の代表作を集めて、誰でもいつでも閲覧できるようにする」と概要を説明した。さらに今泉而雲代表が、放浪俳人・井上井月の弟子の句を引きながら、「名もなき市民、アマチュアの佳句を電脳空間上に永遠に残す」のが構想の核心と語った。
このあと質疑に入り、日経俳句会の高石昌魚氏が「殿堂入りを励みに90歳を超えても句作を続けたい」と積極的な支持を表明。番町喜楽会の前島幻水氏は「本棚の隅で忘れられる俳句集よりもネット上の作品集が時代に合っている」と意義を語った。さらに今年90歳で最長老の井上庄一郎氏が登壇し、「わが意を得た構想だ。実現を切望している」と熱い思いを語り、出席者全員が大きな拍手で殿堂構想を承認した。続いて片野涸魚氏の発声で乾杯、歓談に移った。日ごろ顔を合わせない他の句会の会員との貴重な交流の場となった。
この日は殿堂旗揚げと連動する形で、三句会の長寿会員をお祝いするイベントも開催した。日経俳句会の堤てる夫幹事長が「今年80歳を迎える方が8人おられ、既に80歳を超えた方も8人いらっしゃる。これはお祝いしなければという話になった」と趣旨を説明。出席した長寿会員15人が紹介されて前方に並ぶと、女性会員からお祝いの赤いバラが各人に贈られ、大きな拍手が沸いた。
各句会から武居照芳氏、杉山智宥氏、中島阿猿さんらがお祝いの言葉を述べたのに対し、長寿会員は「バラの花を贈ったことはあったが貰ったのは初めて」(田中白山氏)、「嬉しくて飲めないお酒を飲み足元がふらつく」(宇野木敦子さん)、「若いと見られていたのに歳がばれた」(高瀬大虫氏)と、ユーモアを交え喜びを語った。
締め括りとして番町喜楽会の高井百子会長が「殿堂構想実現を通じて三つの句会の相互交流を深め、さらに殿堂を足場に外に開かれた句会に成長したい」と閉会の辞を述べ、最後に日経俳句会・野田冷峯さんの音頭による関東一本締めが会場に響き渡った。(報告・中村哲)