番町喜楽会は8月4日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で第83回例会を開いた。兼題は「夏の果(なつのはて)」と「滝(たき)」で、出席13人、投句参加7人から5句づつ投句、計100句について7句選句で句会を進めた。その結果、最高は5点で4句、次席4点6句、三席3点が10句。以下、2点10句、1点28句。
5点句は「滝行や茶髪の背中に喝の文字 谷川水馬」「ある筈の始めと終り蟻の列 野見山恵子」「絵巻物ひもとくやうに赤目滝 星川佳子」「盆の月貝殻といふ死のかたち 三好六甫」の4句。
4点句は「行く夏や鉄路はるかな赤手旗 今泉而雲」「止めどなき告白に似て滝落ちる 徳永正裕」「変えられぬ己笑ひて夏の果 星川佳子」の3句に、笹本塘外作の「半纏の並び干されて夏の果」「水打てば土黒々と息つけり」「鉾追うて四条は長く八坂まで」の3句が入った。この例会に故山口詩朗氏夫人の斗詩子さんがメールで投句・選句参加した。
兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「夏の果」
行く夏や鉄路はるかな赤手旗 今泉 而雲
半纏の並び干されて夏の果 笹本 塘外
変えられぬ己笑ひて夏の果 星川 佳子
図書館の慣れたる道や夏終る 岩沢 克恵
果つるともみえぬ照りやう夏の果 大澤 水牛
鬼子母神駄菓子屋の婆夏の果 高井 百子
だんまりの八百屋のおやじ夏の果 高橋 楓子
ゆく夏やつるりと擦るえびす腹 谷川 水馬
吾子の眼の大人びにけり夏終る 徳永 正裕
「滝」
滝行や茶髪の背中に喝の文字 谷川 水馬
絵巻物ひもとくやうに赤目滝 星川 佳子
止めどなき告白に似て滝落ちる 徳永 正裕
尾根道を過ぎて飛瀑の道に入る 加沼 鬼一
滝音を入れて二人のカプチーノ 玉田春陽子
「雑詠」
ある筈の始めと終り蟻の列 野見山恵子
盆の月貝殻といふ死のかたち 三好 六甫
水打てば土黒々と息つけり 笹本 塘外
鉾追ひて四条は長く八坂まで 笹本 塘外
上階の送り火の鈴闇の中 岩沢 克恵
土用丑茄子の蒲焼ございます 堤 てる夫
参加者(出席)今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外 高井百子、高瀬大虫、高橋楓子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、野見山恵子、前島巌水、三好六甫(投句参加)井上啓一、岩沢克恵、加沼鬼一、須藤光迷、徳永正裕、星川佳子、山口斗詩子
(まとめ 堤てる夫)