《ちょこっと吟行》金沢文庫・称名寺

2月19日(土)、日経俳句会有志による「近隣ちょこっと吟行金沢文庫・称名寺めぐり」が行われた。神奈川県立金沢文庫で開催中の設立80周年特別展「運慶―中世密教と鎌倉幕府」を鑑賞、隣接の称名寺を散策した。参加者は大澤水牛幹事長を筆頭に藤村詠悟、黒須烏幸、高瀬大虫、吉野光久、須藤光迷、徳永正裕、星川佳子、堤てる夫(幹事)の9名。
称名寺光明院所蔵の大威徳明王像(重文)が運慶作と判明(平成19年)したのをきっかけに企画された特別展には、奈良・円成寺所蔵の国宝大日如来坐像をはじめ、帝釈天、不動明王などの運慶像が一堂に集められ、その迫力に圧倒された。
展覧会見学のあと称名寺の浄土庭園の苑池、金堂、仁王門などを見て、裏山の実時の墓所や、西国、東国、秩父の観音霊場の観音様を刻んだ石塔が合わせて百体並ぶ「百観音」などを巡った。ここは江戸時代には大山詣でと並んで人気のある行楽地であり、明治から昭和初期までは別荘地帯や避寒避暑地として賑わった場所だが、今日では忘れられたように静かだ。東京からこんな近いところに自然を残した絶好の吟行地が残されているのが嬉しい。
句会はメールで投句・選句する恒例方式で行った。投句3句・選句5句に「天」「地」「人」「入選」を付し、天5点、地3点、人2点、入選1点を配分した結果、吉野光久さんの「あたたかし御顔の剝げた如来さま」が17点を得てトップ、須藤光迷さんの「春昼や踊り出しそな帝釈天」が15点で続いた。好評の作品は次の通り。(堤てる夫記)

あへぎつつ登れば広し春の海        大澤 水牛
ふみくらにみ仏拝み春浅し         黒須 烏幸
春昼や踊り出しそな帝釈天         須藤 光迷
梅の香に運慶仏の集ひけり         高瀬 大虫
乱れ立つ百観音や寒の明け         堤 てる夫
運慶の仏に酔ひて春動く          徳永 正裕
美術館仏も驚く人いきれ          藤村 詠悟
浦沿いに蜜柑金柑風ぬくし         星川 佳子
あたたかし御顔の剝げた如来さま      吉野 光久

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