大澤 水牛

• うたた寝の大ぐい呑みに去年の酒　　　　　（平25）
• 啓蟄や地下ホームより百五段　　　　　　　（平13）
• 禿頭をすべりゆく風春浅し　　　　　　　　（平29）同年度日経俳句会賞特別賞
• 風邪引かぬやうにと言ひて母逝けり　　　　（平21）
• おうおうと花の奥より友の声　　　　　　　（平27）
• 中金堂鴟尾のひかりや夏隣　　　　　　　　（平31）
• 我思ふ故に我在りかたつむり　　　　　　　（平12）
• 初夏の風繋がれしまま日本丸　　　　　　　（平11）
• あめんぼうプール掃除が始まるぞ　　　　　（平18）
• 日本に生まれて嬉し冷奴　　　　　　　　　（令5）
• 十万人身を弓なりの大花火　　　　　　　　（平11）
• 千万本鎧ひて毛虫踏まれけり　　　　　　　（平17）
• 蚯蚓干からびて疑問符描きけり　　　　　　（平13）
• 電車内化粧する子や終戦日　　　　　　　　（平17）
• 炊飯器スイッチぽんと敗戦忌　　　　　　　（令１）
• たのもしき船徳利と夜長かな　　　　　　　（平17）
• 雲すこしありて生き生き今日の月　　　　　（平29）
• 水澄めりほのかに聞こゆボブ・ディラン　　（平15）
• 六道の辻に道聞く秋の暮　　　　　　　　　（平20）
• 鹿鳴くや山小屋閉づる釘の音　　　　　　　（平16）
• うたた寝の妻小さくて木の葉髪　　　　　　（平15）
• おやしらず抜いて短日暮れにけり　　　　　（平18）
• これほどの葉があったのか欅散る　　　　　（令２）
• 冬帽子深くかぶれば冬の顔　　　　　　　　（平19）
• パラダイスと言ひし町あり虎落笛　　　　　（令3）
• 朝もやの海となりけり枯野原　　　　　　　（令4）