番町喜楽会第108回例会

番町喜楽会は9月1日(月)午後6時半、千代田区九段の区立生涯学習館4階会議室で9月例会(通算108回)を開いた。兼題は「二百十日(にひゃくとおか、厄日も可)」「柿(かき)」。出席者13人、投句参加3人、投句総数80句、6句選句で句会を行った。

その結果、最高は5点で、須藤光迷さんの「伊那谷を跨ぎ揺るがぬ天の川」、星川佳子さんの「サーカスのテント波打つ厄日かな」、山口斗詩子さんの「事多き一日終えて柿をむく」の3句が並んだ。続く4点は4句、3点が2句で、結局3点以上獲得の高点句が9句しかなく、しかも兼題句はこのうち僅か3句という珍しい結果になった。以下、2点12句、1点が28句あった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「二百十日」

サーカスのテント波打つ厄日かな     星川 佳子

風音に猫考える厄日かな         今泉 而雲

「柿」

事多き一日終えて柿をむく        山口斗詩子

「雑詠」

伊那谷を跨ぎ揺るがぬ天の川       須藤 光迷

キャンパスに戻りし声や葉鶏頭      岩沢 克恵

係船の一艘減りて島の秋         高瀬 大虫

魂祭往きも還りもみな手ぶら       谷川 水馬

大西日なんと我が脚長きこと       堤 てる夫

指の先天をくすぐる阿波踊        徳永 正裕

参加者(出席)今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子、前島巌水(投句参加)岩沢克恵、高橋楓子、山口斗詩子              (まとめ・堤てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

第31回三四郎句会

三四郎句会の8月例会(第31回)は残暑厳しい21日午後1時半から、東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。今回から宇野木敦子さんが紅一点の初参加。岡本崇、田村豊生、宇佐美論さんは欠席だったが、事前に投句・選句を行った。3人の欠席投句・選句を加えると会員14人全員参加となった。

兼題は「八月」と「朝顔」。吉田正義さんの「八月の棚田見廻る赤とんぼ」が最高の5点を獲得した。吉田さんは俳句を始めて半年足らず、二度目の句会参加で、出席者全員の拍手喝采を受けた。

次いで「八月や海の果て行く雲の列」(今泉恂之介)が4点、「丁寧に新聞畳む広島忌」(岡本崇)、「朝顔や妻の言葉を聞き流し」(宇佐美論)、「八月や自然も歴史も息苦し」(竹居照芳)、「敵機なき夜空を飾る大花火」(田村豊生)など七句が3点を獲得した。(今泉恂之介記録)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会第131回例会

「暑さ止む」という処暑を目前にして、水銀柱が36℃超を示した8月20日(水)。午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経広告研究所会議室で、日経俳句会の平成26年度第7回例会(通算131回)が開かれた。猛烈な蒸し暑さの残暑をついて23人もが出席、投句参加10人、投句総数が159句に達する大賑わいとなった。

この夜の兼題は夏の続きを見越しての夏の季語「滴り(したたり)」と「サングラス」。選句7句の結果、最高は廣上正市さんの「旧姓に戻るうわさやサングラス」の10点句だった。次席は大澤水牛さんの「変らぬは蝉の声のみ敗戦忌」の八点句。三席は今泉恂之介さんの「胸中に鬼が一匹サングラス」の6点句。続く5点には5句が並び、4点は10句、3点10句。以下、2点24句、1点33句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「滴り」

隧道の滴るあたり国境        嵐田 啓明

滴りや笑ふがごとき磨崖仏      大澤 水牛

滴りの糸の如くを手に掬ふ      久保田 操

地の霊の泪滴る地下の壕       高瀬 大虫

滴りをタオルに浸す熊野道      徳永 正裕

滴りて残響返す鍾乳洞        流合研士郎

滴りの一滴天地映しをり       流合研士郎

「サングラス」

旧姓に戻るうわさやサングラス    廣上 正市

胸中に鬼が一匹サングラス         今泉恂之介

サングラス恨みつらみもセピア色   大澤 水牛

きのふとは違ふわたしよサングラス  大倉悌志郎

冷やかして買ふ羽目になるサングラス 直井  正

改札に待ちくたびれしサングラス   星川 佳子

にんまりと遠近両用サングラス    金田 靑水

サングラス今日一日の裕次郎     杉山 智宥

「雑詠」

 変らぬは蝉の声のみ敗戦忌       大澤 水牛

癌またも拡がりはじむ鰯雲      須藤 光迷

夏空の藍極まりて暮れ残る      徳永 正裕

勤行の坊主よろけて法師蟬      嵐田 啓明

 縁先に木曾の黒下駄今朝の秋)      今泉恂之介
 秋の闇ハシビロコウの忍者めく       大澤 水牛
 東西の本に囲まれ昼寝かな         大下 綾子

白神をこえて十和田へ星流る     須藤 光迷

半酔に亡友あらはる蝉しぐれ     大沢 反平

馬冷やすごと朝ぶろに身をひたす   金田 靑水

蔓の伸びはたと止まりし秋はじめ   廣上 正市

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤村詠悟、星川佳子、水口弥生、横井定利(投句参加)大石柏人、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、杉山智宥、高瀬大虫、流合研士郎、藤野十三妹      (まとめ・堤てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第107回例会

番町喜楽会は、梅雨明けの強い日差しが照りつける8月2日(土)午後、千代田区二番町の番町ハイム会議室で平成26年第8回例会(通算107回)を開いた。兼題は「残暑(ざんしょ)」「西瓜(すいか)」で投句参加1人を含め14人から69句の投句があった。6句選句で句会を進めた結果、最高は谷川水馬さんの「敗戦忌風に三線鳴る夜かな」の7点句。次席は星川佳子さんの「父の字の細くなりたる残暑かな」の6点句。三席は今泉而雲さんの「西瓜割る親の遺産を割るごとく」の5点句。それに玉田春陽子さんの「あんぱんの臍の凹みも残暑かな」の4点句が続いた。3点は5句、以下2点14句、1点24句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「残暑」

父の字の細くなりたる残暑かな                   星川   佳子

あんぱんの臍の凹みも残暑かな                   玉田春陽子

老ひ猫の土間に腹這ふ残暑かな                   大澤   水牛

托鉢の焼けた素足や秋暑し                          高橋   楓子

「西瓜」

西瓜割る親の遺産を割るごとく                   今泉 而雲

もらったはいいが西瓜の持ち重り               大澤   水牛

「雑詠」

敗戦忌風に三線鳴る夜かな                          谷川    水馬

神楽坂浴衣の似合ふ雨上がり                      高瀬    大虫

草原は日光キスゲ大入日                             前島   巌水

 

【参加者】(出席)今泉恂之介、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、星川佳子、前島厳水、(投句参加)大下綾子、山口斗詩子、(選句参加)徳永正裕

(まとめ 堤てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会第130回例会

日経俳句会は、大暑の日の7月23日(水)、平成26年第6回例会(通算130回)を内神田・日経広告研究所会議室で開いた。兼題は「大暑(たいしょ)」「金魚(きんぎょ)」で、熱暑をついて24人が出席、10人が投句参加した。投句総数は164句、7句選句の結果、最高は大倉悌志郎さんの「出目金に留守番頼み落語会」の9点1句。次席8点は須藤光迷さんの「縁日の金魚と五年ともにあり」と、廣上正市さんの「遠雷や自画像多き無言館」の2句。三席は6点で、大澤水牛さんの「肋骨の折れて大暑のコルセット」と、堤てる夫さんの「雨蛙畳の上に居る不思議」の2句。

次いで5点句には「深刻な話をいなす金魚かな 大下綾子」、「水打てば大暑の八百屋生き生きと 金田青水」、「山門の仁王大暑を吐き続け 直井正」、「石狩川(いしかり)の蛇行ここより雲の峰 正市」、「糸杉の絵のゆらぎをる大暑かな 星川佳子」の5句。続く4点は3句、3点12句、2点25句、1点49句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「大暑」

肋骨の折れて大暑のコルセット    大澤 水牛

水打てば大暑の八百屋生き生きと   金田 青水

山門の仁王大暑を吐き続け      直井  正

糸杉の絵のゆらぎをる大暑かな    星川 佳子

蛇口より先ずは湯の出る大暑かな   植村 博明

錆色の線路のゆがむ大暑かな     大熊 万歩

諍ひのなほ続きゐる大暑かな     高石 昌魚

焼き鳥屋耳朶まで赤き大暑かな    植村 博明

動かないメタボの鯉の大暑かな    鈴木 好夫

山の神と言ふバス停あり大暑     徳永 正裕

撒き水に蝿の寄り来る大暑かな    水口 弥生

「金魚」

出目金に留守番頼み落語会      大倉悌志郎

縁日の金魚と五年ともにあり     須藤 光迷

深刻な話をいなす金魚かな      大下 綾子

金魚に名つけて挨拶母の朝      嵐田 啓明

帰宅して金魚に声をかけてをり    今泉恂之介

揺れる藻に金魚口づけ泡一つ     大熊 万歩

嫁がせて金魚二匹と過ごす日々    大沢 反平

水替へて金魚の踊るスロージャズ   高瀬 大虫

うなじ見せ金魚掬ふも女かな     徳永 正裕

「雑詠」

遠雷や自画像多き無言館       廣上 正市

雨蛙畳の上に居る不思議       堤 てる夫

石狩川の蛇行ここより雲の峰     廣上 正市

うす紅はいのちの色よ古代蓮     田中 頼子

はまなすの砂丘登るや海の青     徳永 正裕

 

参加者(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤野十三妹、藤村詠悟、星川佳子、水口弥生、村田佳代、横井定利(投句参加)池村実千代、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、田中頼子、流合研士郎   (まとめ・堤てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

酔吟会第111回例会

酔吟会は7月12日(土)午後1時から鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で平成26年度第4回例会(通算111回)を開いた。梅雨台風8号が西日本に豪雨禍をもたらし、東日本には猛暑を置いて去った翌日とあって、湿度が高い上に気温が30℃を超え、大変な蒸し暑さだった。

それでも今泉恂之介、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、澤井二堂、徳永正裕、藤村詠悟、野田冷峰の11名が出席する好成績。大石柏人、金指正風、堤てる夫、藤野十三妹、星川佳子の5名が投句参加した。

兼題は「梅雨明」と「鰻(蒲焼も可能)」。投句5句、選句7句で句会を行った結果、最高点は5点で、「うなぎ待つ瓜漬で待つ小半刻 大澤水牛」1句。続く4点は堤てる夫さんの「窓枠に天下窺ふ青蛙」と金指正風さんの「世に残す句ひとつなし半夏生」の2句だった。三席3点句は大石柏人さん「梅雨明けや書『特選』のハガキ来る」と片野涸魚さんの「あの寺もこの寺もまたあぢさゐ寺」の2句が並んだ。以下、2点14句、1点が26句もひしめき合った。兼題別の2点以上獲得句は次の通り。

「梅雨明」

梅雨明や書「特選」のハガキ来る    大石 柏人

梅雨明けや龍馬のにらむ桂浜      星川 佳子

梅雨明けの目にささりくる白きビル   星川 佳子

家中の窓開け放つつゆの明け      久保田 操

梅雨明けや孫の襁褓もとれたるぞ    岡田 臣弘

梅雨明はいつのことかと買ふ日傘    藤野十三妹

梅雨明や飛鳥古仏の頬光る       徳永 正裕

「鰻」または「蒲焼」

うなぎ待つ瓜漬で待つ小半刻      大澤 水牛

憂しと云ひ嬉しと云ひて鰻飯      大澤 水牛

鰻焼く香り砂町銀座かな        星川 佳子

行く末の諸事はさておき鰻飯      大沢 反平

「雑詠」

窓枠に天下窺ふ青蛙          堤 てる夫

世に残す句ひとつなし半夏生      金指 正風

あの寺もこの寺もまたあぢさゐ寺    片野 涸魚

今はただ自然に生きむ山法師      片野 涸魚

憲法九条絶滅危惧種になりし夏     金指 正風

乗り過ごし鳩と仔猫と梅雨の駅     大澤 水牛

ブロックの風の穴から額紫陽花     堤 てる夫

ザック・ジャパンとんだ鬼味噌夏の夢  藤野十三妹

(まとめ 大澤水牛)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第106回例会

番町喜楽会の7月例会(通算106回)は7月7日(月)、どんぴしゃり「七夕句会」となり、会場の千代田区九段の区立生涯学習館には定刻前に出席者11人が勢揃い。兼題は「七夕(たなばた)」「向日葵(ひまわり)」で、投句参加者の作品を含め投句総数79句、6句選句で句会を進めた。その結果、最高は4点で「向日葵やあつけらかんと転職す 今泉而雲」「向日葵に負けぬブラウス選びけり 岩沢克恵」「短冊に追伸もあり星祭り 玉田春陽子」「向日葵の出迎へありて無人駅 前島巌水」の4句が並んだ。続く3点は7句、以下2点19句、1点17句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「七夕」

短冊に追伸もあり星祭り         玉田春陽子

魚屋の閉じた通りや星祭         今泉 而雲

色紙のくさりで舫ふ星の恋        高瀬 大虫

「向日葵」

向日葵やあつけらかんと転職す      今泉 而雲

向日葵に負けぬブラウス選びけり     岩沢 克恵

向日葵の出迎へありて無人駅       前島 巌水

向日葵や闘牛場の砂埃          須藤 光迷

陽に背く向日葵もあり偕生園       高井 百子

「雑詠」

ハンカチにけふ一日の皺あまた      玉田春陽子

麦秋や土曜日午後のコンバイン      堤 てる夫

気がつけばユニクロずくめ夏衣      前島 巌水

 

参加者(出席)今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、星川佳子、前島巌水(投句参加)井上啓一、岩沢克恵、大下綾子、高井百子、徳永正裕                (まとめ・堤てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会平成26年度上期合同句会

日経俳句会は6月18日(水)午後6時半、内神田の日経広告研究所会議室で、平成26年上期合同句会(通算18回)を開催した。兼題は「父の日(ちちのひ)」「時鳥(ほととぎす)」で、当季雑詠句と合わせ3句投句。幹事と会員が事前にメールなどやり取りして投句・選句を済ませ、合同句会は選句結果の発表でスタートした。出席者は21人、投句参加者14人で、投句総数は105句。

今回の最高点は九点で「どの田にも水走らせよ時鳥 嵐田啓明」と「父の日も草むしる父背丸し 大澤水牛」の2句。次席は6点で「父の日や無口息子のメール来る 高石昌魚」と「父の日やイトウを釣りし話など 廣上正市」の2句。次いで5点は「富士隠す雲切り裂きて時鳥 水牛」、「父の日のいつかも知らず老いにけり 片野涸魚」、「父の日よ祝日の無い六月よ 杉山智宥」、「父の日や区立図書館閉じるまで 鈴木好夫」と4句が並んだ。

続く4点は6句、3点8句、2点19句、1点27句。兼題別、3点以上の高点句は次の通り。

「父の日」

父の日も草むしる父背丸し       大澤 水牛

父の日や無口息子のメール来る     高石 昌魚

父の日やイトウを釣りし話など     廣上 正市

父の日のいつかも知らず老いにけり   片野 涸魚

父の日よ祝日の無い六月よ       杉山 智宥

父の日や区立図書館閉じるまで     鈴木 好夫

父の日や四十娘のありがたう      大沢 反平

父の日や玄関で待つ去年の杖      澤井 二堂

父の日は笑顔で過ごす日と決めて    横井 定利

「時鳥」

どの田にも水走らせよ時鳥       嵐田 啓明

富士隠す雲切り裂きて時鳥       大澤 水牛

ほととぎす山懐の阿弥陀堂       堤 てる夫

衝撃の訃報聞く朝ホトトギス      片野 涸魚

裏山を声明に和し時鳥         星川 佳子

「雑詠」

足の裏拭ひたくなり梅雨に入る     植村 博明

思ふこと違ふ二人やソーダ水      大倉悌志郎

紫陽花や佐倉義民の眠る墓       徳永 正裕

万緑の荒涼として友の逝く       大沢 反平

荒梅雨や贔屓チームの負け続け     大下 綾子

まぼろしの特攻基地や蛍飛ぶ      須藤 光迷

若き継母父を奪ひし梅雨の入り     藤野十三妹

電車撮る小さき脚立夏はじめ      星川 佳子

 

参加者(出席)池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大澤水牛、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、藤村詠悟、星川佳子、横井定利(投句参加)嵐田啓明、大石柏人、大熊万歩、大倉悌志郎、大沢反平、片野涸魚、金田青水、久保田操、田中頼子、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、村田佳代、山田明美(まとめ・堤てる夫)

 

Posted in 未分類 | Leave a comment

番町喜楽会第105回例会

番町喜楽会は6月7日(土)午後1時から、千代田区二番町の番町ハイム会議室で、平成26年第6回例会(通算105回)を開催した。

兼題は「梅雨(つゆ・ばいう)」と「冷奴(ひややっこ)」。暦の入梅は11日であり、関東地方の梅雨入りは暦より遅れるのが普通なので、この兼題は少し早すぎ、もしかしたらカンカン照りで大汗掻きの中かも知れない、そうなれば「冷奴」の兼題が生きて来るだろうというのが出題者の目論見。そうしたらまさに「梅雨」がどんぴしゃり。今年は例年より5、6日早く5日に梅雨入りとなってしまい、それもとんだ荒梅雨でこの日も朝から強い雨が降りっぱなし。気温も20度くらいしかなく、薄ら寒い。

そんな悪天候も影響したか出席者は8人に止まった。投句参加は6人。出席者が少なかったので選句数を7句として句会を進めた。最高点は6点で堤てる夫さんの「満満の田水に飛沫はしり梅雨」という、新しい故郷塩田平風景を詠んだ句が選ばれた、次席5点は「ともかくも喜寿となりけり冷奴 水牛」の1句。三席4点は「キャンパスのオープンカフェ夏燕 而雲」「エアコンが臭ふと騒ぐ梅雨の入 水牛」の2句だった。次いで三点句は7句、以下二点9句、一点が23句もあった。兼題別の高点句(三点以上)は次の通り。

「梅雨」

満満の田水に飛沫はしり梅雨     堤 てる夫

エアコンが臭ふと騒ぐ梅雨の入    大澤 水牛

梅雨晴れて園児くるりと逆上がり   今泉 而雲

肥後守錆びて候走り梅雨       玉田春陽子

つり革の二の腕眩し梅雨晴れ間    高瀬 大虫

「冷奴」

ともかくも喜寿となりけり冷奴    大澤 水牛

冷奴ゆうべと同じ話聞く       玉田春陽子

いまふたりいずれ一人や冷奴     玉田春陽子

冷奴喰ふ身も揺れてガード下     谷川 水馬

「雑詠」

キャンパスのオープンカフェ夏燕   今泉 而雲

片手あぐ小さき仏や青葉光      須藤 光迷

参加者(出席)井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子。(投句参加)高井百子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子。    (まとめ・大澤水牛)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会第129回例会

日経俳句会は5月21日午後6時半から鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で、平成26年度第5回例会(通算129回)を開いた。出席者17人、投句参加者14人の計31人から148句の投句があった。

この日の兼題は「夏めく」と「茄子」で、選句7句で行った結果、最高点は8点で今泉而雲さんの「意地といふものかも知れず茄子の棘」だった。続く7点も而雲さんの「鋸を挽けば木の香や夏めける」の一句。次いで三席6点は「素足にて土踏んでみる喜寿の朝 大澤水牛」と「「雑巾で磨きし廊下夏めきぬ 横井定利」の二句だった。以下5点が3句、4点9句、3点9句、2点11句、1点40句と続いた。相変わらずの激戦だが、今回は特に4点、3点が目立った。3点以上獲得した句を季語別に掲げる。

「夏めく」

鋸を挽けば木の香や夏めける     今泉恂之介

雑巾で磨きし廊下夏めきぬ      横井 定利

腐葉土の芳しき香の夏めきて     金田 青水

夏めいて陽気な雨となりにけり    嵐田 啓明

夏めきて床屋のはさみ動き出す    植村 博明

夏めくや塩気のつよき握り飯     大下 綾子

夏めくや背になじみきしランドセル  須藤 光迷

夏めくや夜風を入れるレストラン   堤 てる夫

製糸場百年煉瓦に夏兆す       杉山 智宥

夏めくや棚田に映る風の影      髙石 昌魚

夏めきて水重くなる神田川      高橋ヲブラダ

夏めくや被災の海の息遣ひ      水口 弥生

「茄子」

意地といふものかも知れず茄子の棘  今泉恂之介

焼き茄子や宇宙飛行士帰還せり    嵐田 啓明

茄子紺や宇宙に果てはありますか   大沢 反平

煮て焼いて炒めて漬けて茄子の膳   直井  正

弁当の中に程よき小茄子かな     大熊 万歩

賀茂茄子の特等席の八百屋かな    大熊 万歩

茄子苗の早も小さな花ひとつ     大澤 水牛

焼茄子を剥けば可憐なうすみどり   髙瀨 大虫

「当季雑詠」

素足にて土踏んでみる喜寿の朝    大澤 水牛

腹の傷ゆつくりさすり衣がへ     金田 青水

あめんぼの足の先より二つの輪    星川 佳子

職に在りしごと大股に夏日影     横井 定利

ポリープを取られ戻れば大夕焼    須藤 光迷

閑かなる山寺を這ふ若葉風      水口 弥生

《参加者》(出席)嵐田啓明、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、髙石昌魚、高瀬大虫、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、廣上正市、水口弥生。(投句参加)池村実千代、植村博明、大熊万歩、大下綾子、岡田臣弘、金田靑水、久保田操、須藤光迷、田中頼子、野田冷峰、藤野十三妹、星川佳子、村田佳代、横井定利。

☆     ☆     ☆

なお、句会前日の5月20日夕刻、日経俳句会の幹事だった吉野光久氏が亡くなった。2年半前に悪性リンパ腫が発見され、検査・治療に何回か入院、今年に入って大いに元気を回復し、3月の酔吟会例会に颯爽登場、「病躯ゆるされて春野に歩き出す」という素晴らしい句で最高点を獲得、出席者一同から拍手喝采を浴びた。「しばらくは夜間の外出は控えねばならないが、昼間なら大丈夫なので、これからは酔吟会例会に出席します」と宣言された記憶が新しいだけに、この訃報には会員一同言葉を失った。

吉野邸に詰めかけていた同期生の堤てる夫さんが遅れて句会会場に現れ、故人のことをしみじみ語り、一同深く冥福を祈った。

(報告 大澤水牛)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment