日経俳句会第193回例会

八ヶ月ぶりの対面句会

博明さん11点、早苗さん、昌魚さんが7点で並ぶ

日経俳句会は10月21日(水)、10月例会(第193回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。新型コロナ下で長い間メール句会を余儀なくされていたが、粘り強い働きかけで会議室が使えるようになり、八ヶ月ぶりに対面での句会となった。当然ながら、検温や換気、消毒、座席を空ける、など感染防止に充分配慮した。事前にサーキュレーターや非接触型検温計、消毒ジェルなどを購入し万全を期した。たまたま出席者は14人と密にならない人数だったが、久しぶりの再会を楽しんだ。また、「三四郎句会」の深瀬久敬さんが見学に訪れ、選句に加わった。

「冷まじ」と「南瓜」の兼題に、32人から96句の投句があった。6句選(欠席者は5句選)の結果、一席は11点で植村博明さんの「ぐい吞みを厚手に替えて秋深し」。二席には、斉藤早苗さんの「蟷螂を避けて自転車みぎひだり」と髙石昌魚さんの「目鼻口つけて南瓜の大笑ひ」が7点で並んだ。次いで、5点句には実千代さん、反平さん、明古さん、昌魚さんの4句。以下、4点8句、3点9句、2点26句、1点23句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「冷まじ」

一軒に保存魔ふたりすさまじき      池村実千代

冷まじやわが皺顔の水鏡         大沢 反平

冷まじや乾きのつのる老いの肌      髙石 昌魚

冷まじやスマホ食ひ入る向かひ席     植村 博明

花時を過ぎて冷まじ七変化        久保田 操

自死せまる深き孤独の冷まじや      金田 青水

詐欺メールああだこうだと冷まじき    向井 ゆり

「南瓜」

目鼻口つけて南瓜の大笑ひ        髙石 昌魚

昼も夜も卓に南瓜やテレワーク      大下 明古

大かぼちゃ主食デザート七変化      池村実千代

満ち足るる南瓜スープの香りかな     大澤 水牛

叢にごろりと潜む南瓜かな        今泉 而云

骨を断つほどの気合いで南瓜断つ     斉藤 早苗

南瓜割る妻の顔つき婆娑羅さま      澤井 二堂

体乗せ日向南瓜を四ツ割りに       須藤 光迷

人寄せの大かぼちゃ撫で物産展      徳永 木葉

ありし日の弁当箱の南瓜かな       廣上 正市

「当季雑詠」

ぐい吞みを厚手に替えて秋深し      植村 博明

蟷螂を避けて自転車みぎひだり      斉藤 早苗

令和二年

塀越しに我が子応援運動会        嵐田 双歩

新米や塩田平の天地人          堤 てる夫

金の砂撒いて木犀香を失せり       徳永 木葉

始祖鳥の夢切れ切れに夜寒かな      中嶋 阿猿

あの家の角を曲がれば金木犀       旙山 芳之

《参加者》【出席14人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、須藤光迷、鈴木雀九、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり、(特別参加)深瀬久敬。【投句参加19人】池村実千代、岩田三代、植村博明、大沢反平、大下明古、大平睦子、久保田操、斉藤早苗、澤井二堂、杉山三薬、高井百子、高石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

This entry was posted in 句会報告. Bookmark the permalink.

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>