日経俳句会第157回例会

「春一番」「草餅」に39人から投句190句

反平さん、断トツの13点句

 

日経俳句会は3月15日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で3月例会(通算157回)を開いた。彼岸入りを目前にして寒さがぶり返す中、39人から190句もの投句があった。投句者数、総句数ともこれまでの最高。

兼題は「春一番」と「草餅」。最高点は大沢反平さんの「病妻に野を分けたくて蓬餅」で、13点というかつてない高点を獲得した。次点は8点で加藤明男さんの「カタカタと絵馬のいななき春一番」。その後、嵐田双歩さんの「バンダナの似合ふ母なり草の餅」(7点)、大澤水牛さんの「あめつちの気を搗き込んで草の餅」(6点)と続いた。5点は植村博昭さんの「半鐘の鳴り出しさうな春一番」など3句、4点は大下綾子さんの「手のぬくみ大地のぬくみ草の餅」など6句が並んだ。以下3点16句、2点23句、1点47句と続いた。兼題別高点句(3点句以上)は以下の通り。

「春一番」

カタカタと絵馬のいななき春一番    加藤 明男

半鐘の鳴り出しさうな春一番      植村 博明

自転車をなぎ倒しゆく春一番      岩田 三代

春一番ひとの名前がでてこない     大下 綾子

春一番起立せし君髪が舞う       高橋ヲブラダ

春一番初球ずしんとストライク     徳永 正裕

春一番何処(いずこ)へ往かむ一人旅       井上庄一郎

閉店の貼り紙ちぎれ春一番       植村 博明

息子の手妻がたぐりて春一番      植村 博明

巨木の葉すべて返るや春一番      大熊 万歩

春一番しぶきの洗礼いるかショ―    岡田 臣弘

春一番自堕落暮らし持ってって     岡田 臣弘

占いの看板飛ばし春一番        中嶋 阿猿

ベランダに風紋の朝春一番       水口 弥生

「草餅」

病妻に野を分けたくて蓬餅       大沢 反平

バンダナの似合ふ母なり草の餅     嵐田 双歩

あめつちの気を搗き込んで草の餅    大澤 水牛

故郷に母は健やか蓬餅         大倉悌志郎

手のぬくみ大地のぬくみ草の餅     大下 綾子

草餅や大地の息吹き閉じ込めて     岩田 三代

火箸もて草餅炙る老婆かな       髙瀨 大虫

風光る塵一つ無き平林寺        堤  てる夫

故郷の山河包める蓬餅         中村  哲

蓬餅すり鉢おさえて手伝う子      村田 佳代

「当季雑詠」

啓蟄の町に就活溢れ出る        大沢 反平

四肢伸ばしまた春眠にもどりたる    須藤 光迷

春光や印花彫る手に泥の跡       須藤 光迷

犬ふぐり持ち上げ今朝のもぐら塚    谷川 水馬

卒業証書肘伸ばす手の高きかな     廣上 正市

傘ささぬ人も過ぎゆく春の雨      星川 佳子

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中村哲、中嶋阿猿、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、(投句参加)池村実千代、岩田三代、植村博明、大石柏人、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、流合研士郎、深田森太郎、藤野十三妹、村田佳代、水口弥生、横井定利

(まとめ・廣上正市)

 

 

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